2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『観光まちづくりとマーケティング』脱稿間近

いよいよ脱稿間近 5月12日に紹介した『観光まちづくりとマーケティング』の第二次稿が上がってきた。 本書は、1章で総論を書いて頂き、以下「観光地マーケティング」「観光地ブランディング」「観光地プロモーション」そして「MICE」と「ホスピタリティ…

「新しい中世」の始まりと日本

近代の終焉 蓑原さんの薦めで大窪一志『「新しい中世」の始まりと日本』を読んだ。 難しい本だった。 グローバリズムは実質賃金を抑制する利潤革命のために、資本と労働の市場統合を推進し、国民国家を解体する「資本の反革命」だと言う(p80)。 だからグロ…

買い物難民

全国に600万人 2010年5月9日の読売新聞に「買い物難民支援連携」という見出しで、経産省の研究会の報告書が紹介されていた。それによると、買い物に困る高齢者は600万人程度と推計され、過疎地域だけでなく大都市近郊の団地などでも深刻化しているという。…

「地域づくりの視点から都市計画制度に提案する」連続ワークショップ第1回

連続ワークショップとは 『季刊まちづくり』26号の特集「地域づくりの視点から都市計画制度に提案する」の筆者による報告と討議を行う連続ワークショップが始まった。 第1回は下記の内容だった。 特集全体の解説:米野史健※ 提案24.時限的な規制の方策を組…

『電柱のないまちづくり』

電線のない街を目指して 『電柱のないまちづくり』の企画を著者の方々から聞いたとき、出したいと思った。 それには2つ理由がある。 第一は「馬鹿みたいに高い」と思われている電線類地中化だが、今ではかなりコストダウンが出来るようになっていること。 …

全国の公立文化ホールが危機

全国の公立文化ホールが危ない 6月2日の朝の、みのもんたさんの番組で、公立文化ホールが赤字、なかには休館のところもあると伝えていた。 1987年に782だった公立の文化ホールが、いまでは1751もあるという。その大部分が、赤字。 たとえば奈良県上牧町の…

安田亘宏『食旅と観光まちづくり』

たこ焼き食べに1日がかりで行くか? 僕もワイフも、旅と言えば、まずは食事だ。 昔は温泉もよかったが、ちょっと事情ができて行きにくくなった。そうなるとますます食べるものに関心が集中する。 とは言え、遠くまで行くかぎりは、それなりの物が食べたいと…

『観光まちづくりプラットフォーム』

6月18日にも少し触れたけど、『体験交流型ツーリズムの手法』の著者、大社さんが『観光まちづくりプラットフォーム』(仮題)を執筆中だ。 詳細はインタビュー記録をお読み頂きたい。 http://www.gakugei-pub.jp/chosya/001ookoso/index.htm 着地型観光のノ…

大阪の水道水がペットボトルに

10万本を売った「ほんまや」 大阪市水道局が水道水をペットボトルにつめて、地下鉄の駅で販売するという。 名付けて“ほんまや”。大阪市の高度浄水処理水を加熱殺菌した水だそうだ 東京水というのを東京で売っていると聞いた時もたまげたが、大阪でも遂にやり…

青木辰司著『転換するグリーンツーリズム』〜その2・セカンドステージ

セカンドステージの展開 昨日は途中から個人的な愚痴になってしまった。すみません。 本題に戻ると、青木さんの本の核となるセカンドステージとして取り上げられているのは、下記の六つだ。 社会的自己実現型グリーン・ツーリズム―農家民宿、農村民泊、農家…

青木辰司著『転換するグリーンツーリズム』〜その1・協発型歓交

協発型歓交 5月に出した新刊だ。スタッフの中木君が企画・編集した本だが、僕も少しだけ手伝った。 帯には「外発型から協発型へ」とある。 これは、中央政府や外部資本による開発ではなく、かといって内発型オンリーでもなく、外部の力もうまく活かしながら…

民主党マニフェストを読む2〜地域主権・都市再生

2009年版での地域主権 さて肝心の地域主権はどうなったのだろうか。 昨年は7つの大項目の四つ目に取り上げられていた。 4地域主権 27.霞が関を解体・再編し、地域主権を確立する 28.国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止する 29.目的を失っ…

民主党マニフェストを読む1〜住宅政策

民主党がマニフェストを発表した。 もともとマニフェストはおおざっぱなもので、具体的な話は書ききれない。そこで、昨年まではマニフェストの背景となる政策INDEXが公表されており、そこに、都市政策やまちづくりについての記述があった。だが、今年は出さ…

登録文化財・旧京都中央電話局上分局がスーパーに

旧京都中央電話局上分局外観 御所の南東、丸太町の鴨川のほとりに建つ電話局の建物が、スーパーになっていた。 1923年に建てられた鉄筋コンクリート3階建て。現存するRCの電話局舎では最古のものの一つと聞く。 廃局された後1989年にアメリカ蟹のレストラン…

ジャック・アタリ『21世紀の歴史』

「超帝国」「超紛争」 アタリはこの本で、世界を飲み込もうとしている市場民主主義は、国家の弱体化させ、「超帝国」、その裏返しとしての「超紛争」を招くという。その破滅的事態から脱出するすべが「超民主主義」であると説く。 アタリは市場は民主主義と…

下鴨神社・蛍火の茶会

6月12日に蛍火の茶会に行って来た。 これは約六〇〇匹の蛍を大籠より御手洗川に放して鑑賞するとともに、茶会や十二単衣の着付け、王朝舞や箏曲の演奏を愉しもうという趣向だ。 下鴨神社のHPによれば、昭和20年代には農薬による汚染で蛍も絶滅していた…

『生活支援の地域公共交通』

分野を広くきっちりと押さえた本 この本は首都大学東京都市システム科学専攻が企画した都大学叢書の3冊目。約1年前の2009年4月の発行だ。 書いているのは当時同専攻にいた秋山哲男さんと、その門下の吉田樹、猪井博登、竹内龍介さんの四人。 最初は原稿の…

藻谷浩介『デフレの正体〜経済は「人口の波」で動く』

生産人口の減少が経済の縮小の原因 藻谷さんから送ってもらった『デフレの正体』を読んだ。 藻谷さんの主張は単純、明快だ。 生産と消費を担う15歳から65歳までの人口が1990年代半ばを境に減少に転じた。その人口減少に並行して就業人口が減少し、総所得が減…

『「分かち合い」の経済学』

この本は神野さんの渾身の祈りだ。 全編に共感できる言葉が溢れている。 しかし最後は「予言の自己成就」の教えで終わる。「信じるものは救われる」、いや、信じるしかないということだろうか。 新自由主義に毒されてしまった僕は、悲しいことに簡単には信じ…

『観光のユニバーサルデザイン』

出したかった大きいテーマ 数年間、ああでもない、こうでもないと相談を重ねてようやく出せた本だ。 著者の1人、秋山哲男さんからお話を聞いたとき、観光とユニバーサルデザイン、ともに魅力的なテーマで社会的な意味も大きい。類書もない。是非、出したい…

ノッティンガムの中心市街地

学芸チャンネル(仮称)で街路の様子を紹介 会社ではじめた学芸チャンネル(ユーチューブ)に『失敗に学ぶ中心市街地活性化』の共著者、長坂泰之氏(中小企業基盤整備機構近畿支部)が撮影されたノッティンガムの中心市街地の様子を掲載している。 ノッティ…

播磨屋、コモンズの悲劇!?

感じのよいフリーカフェ 一昨年の秋に播磨屋京都支店がフリーカフェをはじめた。 それまでもおかきを買いにきたお客さんにコーヒーをサービスしていたらしいが、入りづらかったという。暗い店内の片隅で、店員さんに囲まれてあれこれサービスされるので、か…

『ウーマン・エコノミー 〜世界の消費は女性を支配する』

宗田好史さんに薦められて『ウーマン・エコノミー 〜世界の消費は女性を支配する』を読んだ。というか途中までは読んだ。辛くなって、あとは読み飛ばした。 世界の消費の64%は女性が支配しており、消費額は現在の2000兆円から数年後には2800挑円に拡大す…

『英国の持続可能な地域づくり』

お金が回るということ 5月12日にも触れたが、地域再生の大きなポイントは多くはないお金をいかに地域内で回すかにある。 それを教えてくれたのは2005年に出した『英国の持続可能な地域づくり』で紹介されていた「漏れを防げ」という地域再生の考え方だ。 …

「京都」皆川淇園「弘道館」での展覧会

家のそばに皆川淇園が主催した学問所「弘道館」跡がある。 昨年、所有者が手放すことになったとき、相談を受けた老舗の和菓子店「老松」が買い取ったという。大学の研究者や伝統産業に携わる職人が運営委員会をつくって荒れていた敷地を手入れし、サロン文化…

楽町楽家・杉崎家コンサート

杉崎家 町家で、「味わい、聞き、食べる」「探す、学ぶ、見る」イベント、楽町楽家が始まっている。友人の杉崎夫人の家でもイベントがあるというので訪ねてみた。 いわゆる旗竿敷地の奥にあって、玄関までの路地がいかにも良い感じだ。 誰もがそう思うからか…

『ドイツの地域再生 コミュニティ・マネージメト』

2年間ほどかけた『ドイツの地域再生 コミュニティ・マネージメント』が出来た。 論文を見せてもらったのが一昨年の夏。科研費の出版助成には間に合いそうになかったので、住総研の出版助成に応募して、助成が決まったのが昨年の夏。そこから原稿の書き直し…

さいりん館

都市環境デザインセミナー「地域に学ぶ景観まちづくりの作法」 5月16日の都市環境デザインセミナーは久しぶりに京都での開催だった。 姉小路と協働での取り組みの報告だったが、地元の方々も大勢来て下さった。内容はいずれ記録をホームページで公表するの…

電子出版

滅びるというのは恐ろしいもの 先々週だかのNHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」で水木しげるがつぶやいた言葉。 水木しげるが紙芝居を書いていた頃、世話になっていた音松が訪ねてきた。だいぶ、うらぶれている。紙芝居では食べてゆけなくなっていたのだ。紙芝居屋…

『「場所」と「場」のまちづくりを歩く』その3

再開発、区画整理の終焉と新しい道 最初に紹介したように岩見さんは再開発、区画整理への反対運動の先頭にたってきた。批判のポイントは、これら事業では土地が資産価値としてしか評価されないという点にある。 土地が減らされ、位置が変えられても、利便性…