2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ脱稿(西村幸夫編1)

『都市計画の新たな挑戦』 5月14日に紹介した蓑原敬編著『都市計画の新たな挑戦』の西村幸夫さんの原稿が届いた。 これで原稿が揃った。いよいよ初校づくりだ。 この本の狙いについては編者の蓑原敬さんがインタビュー「『都市計画の新たな挑戦』を語る」…

学芸セミナー「広域計画と地域の持続可能性」(3)

最後に福島さんの報告を紹介しよう。 広域計画と地域ツーリズムの振興(福島さんの報告) 観光の場合は、広域で取り組むことの意義は明確だ。福島さんが指摘したように、観光客も、そのニーズに応える旅行業者も行政の境界なんて意識しないからだ。 だから観…

学芸セミナー「広域計画と地域の持続可能性」(2)

昨日に引き続き戸田さんの報告を紹介しよう。 県境を越えた連携(戸田さんの報告) 紹介された三遠南信地域は、愛知、静岡、長野にまたがる地域で、豊橋、浜松、飯田が代表的な都市だ。 豊橋と浜松は隣同士だと知っていたが、飯田とも塩の道で結ばれており、…

学芸セミナー「広域計画と地域の持続可能性」(1)

1ヶ月ほど前ですが、8月27日、標記のセミナーを行いました。 参加者は16名と少なかったのですが、内容的には濃かったと思います。 瀬田史彦、戸田敏行、福島茂さんには、遠方から手弁当でお越しいただき、感謝です。 また、参加者の皆様にも感謝します…

「大正・三軒家 下町水辺の楽園ツアー」体験記

食旅セミナーも何とか無事終了。セミナーではマイクが不調だったり、資料が足りなくなったりの不手際もあった。ごめんなさい。 今日は、オプショナルツアー「大正・三軒家 下町水辺の楽園ツアー」を報告しよう。 今回のセミナーをどうするか、フードツーリズ…

ラ・ボエーム(バーデン市劇場)

9月23日にびわ湖ホールにウィーンの森・バーデン市劇場のラ・ボエームを見に行った。 バーデンはウィーン郊外の温泉保養地で、映画『アマデウス』で、保養中だった妻コンスタンツエが、モーツァルトの身に何かが起こっているのではと不安になり、馬車で急い…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(3)

引き続き『人口減少時代における土地利用計画』から幾つかの章を紹介しよう。 「四日市〜市民と行政が合意した計画による都市周辺部の土地利用調整」(浦山益郎、稲垣圭二) 四日市市は都市周辺部に1)大規模な開発許可済みの、しかしまだ開発が行われていな…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(2)

ここからは『人口減少時代における土地利用計画』から幾つかの章を紹介しよう。 「青森市からコンパクティティのこれまでとこれから」(海道清信) まず海道さんの青森のコンパクティの考察を紹介しよう。 ここでは、戦略を振り返りながら、推進派市長の敗因…

上京第46回薪能(白峯神社)

21日は恒例の上京区の薪能を見に行った。本当は休みをとって全部見たかったのだが、なんだかんだで遅れてしまい、駆けつけたのは5時。もう前半の演目は終わりかけだった。 やっていたのは舞囃子「融(とおる)」。観世流の中村美恵子さんが踊っていた。 …

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(1)

都市の縮退と都市計画 最近、この話題ばかり書いているような気がするが、人口が減少し、都市が縮退し、過疎地では集落の消滅が危惧されている今、従来の都市の成長を制御することに主眼をおいた都市計画が大きく変わらなければならないことは明らかだろう。…

松竹大歌舞伎

今日は「連れ」に連れられて歌舞伎を琵琶湖ホールに見に行った。 本当は「連れ」は、南座でやっている海老蔵や玉三郎が出る「通し狂言 義経千本桜」に行きたかったらしいのだが、そちらは8000円ぐらい割安な生協の団体割引券に注文殺到。2度にわたって抽選…

紫野庵〜身体が不自由でもリフトを使わずに入浴できる

昨日は夕方から大徳寺の東側にある紫野庵に間瀬樹省さん・青山幸広さんを訪ねた。 青山さんは介護業界では著名な方で、リフトなどの機械に頼らず、お年寄りに入浴してもらう方法や、オムツに頼らない排泄介護など、身体に優しい介護術の主唱者だ。 この紫野…

今日から梨木神社の萩まつり

梨木神社に水を汲みに行ったら、今日から萩まつりのために水汲みはできませんとのことだった。 萩は万葉集でもっともよく読まれた花だという。梨木神社は三条実萬やその子、実美を祀る神社だが、平安時代にはその地に公家屋敷があり萩が咲き乱れていたらしい…

疋田智『快適自転車ライフ』

疋田智さんの『快適自転車ライフ』(岩波アクティブ文庫)を読んだ。 初版は8年前の2002年。『自転車通勤で行こう』(1999年)から3年目に書かれた比較的古い本だ。 内容は、まず「第1章 ママチャリに乗って冒険に出かけよう」で自転車が意外と遠くまで簡…

特報・古池嘉和さんの観光振興論〜その2〜

長浜 これらに対して、古池さんが厳しい目で見るのは長浜だ。 長浜の成功は疑いえない。しかしそれはテーマパークとしての成功ではないかと指摘する。なぜなら黒壁スクエアの周辺に同種の店舗を誘致することで、スクエアの内部と外部を切り分け、空間を洗練…

特報・古池嘉和さんの観光振興論〜その1〜

『観光学への扉』で「9章 脱開発の時代と持続可能なコミュニティ」「10章 協働・連携としての観光」等を担当いただいた古池嘉和さんの新しい原稿を読んだ。 もうすぐだ。 この本で言いたいことは決まっている。 地域経済において観光が果たすべき意義と役割…

京都御苑にニホンザル出現

朝、病院にいくために京都御苑にいくと、乾門のところに「苑内でニホンザルが目撃されています。もしサルをみつけても近づかないようにして下さい」という張り紙があった。 イタチやタヌキが鴨川にそって南下してきて、このあたりまで来るという話は聞いたこ…

世古一穂『コミュニティ・レストラン』(2)

コミュニティ・カフェとの違い なんでもありのコミュニティ・カフェ コミレスに似ている運動にコミュニティ・カフェがある。 長寿社会文化協会(WAC)が力を入れている運動で、WAC編の『コミュニティ・カフェを作ろう』(学陽書房、2007)によると、「『人と…

世古一穂『コミュニティ・レストラン』(1)

世古一穂さんのコミュニティレストランの講演が、家の近くのYWCAであった。 その後、世古さんの『コミュニティ・レストラン』(日本評論社、2007)も読んだので、併せて紹介しよう。 コミュニティ・レストランとは コミュニティ・レストラン、略してコミレス…

建築学会

9日から11日まで建築学会に行っていた。 結構、ハード。そのうえ風邪気味で、ばて気味。 その点、10日の懇親会のあとで一緒になった佐藤滋先生は、朝はジョギング、大学への行き帰りは徒歩と、健康度100%。 そのうえ、帰りは歩いたほうが早いという。 …

平山洋介『不完全都市〜神戸・ニューヨーク・ベルリン』

山崎義人さんと嘉名光市さんが 季刊まちづくり26号の読書会で報告されている都市の放棄地については、平山洋介さんが『不完全都市―神戸・ニューヨーク・ベルリン(学芸出版社、2003)』で詳しく論じている。 ニューヨークの放棄住宅 この本によると、ニュー…

特別企画・分かち合いの都市計画(3)

『季刊まちづくり28号』で五十嵐さんたちが展開している総有論が、放棄地だらけになったような衰退地区では助け船にならないとしたら、どうすれば良いのだろうか。 山崎義人さんと嘉名光市さんによるアメリカの事例の紹介 季刊まちづくり26号の読書会では、…

特別企画・分かち合いの都市計画(2)

総有という考え方が都市計画関係の諸制度改革の鍵になるのかどうか、考えてみたい。 総有論では村八分になったときに困る 昨日、説明したように総有は単なる共有でも空間の公有でもない。「構成員でなければ利用権を取得できないし、資格を失えば利用権も喪…

特別企画・分かち合いの都市計画(1)

季刊まちづくり28号、いよいよ発売です。 アマゾンではすでに発売中。書店でも9月1日には店頭に並ぶと思います。よろしくお願い致します。 現代総有論と都市計画 28号の特別企画は神野直彦さんを迎え、五十嵐敬喜、野口和雄さんの座談会から始まり、五十嵐さ…

堀米ゆず子ヴァイオリン・ワークスV

今日は堀米さんのヴァイオリン・ワークスVを近くのホールに聞きにいった。 「音楽の旅-叙情を求めて」〜ピアノの巨匠パスカル・ドヴァイヨンを迎えて〜というタイトルで、フランクの「ヴァイオリンソナタ イ短調」、細川俊夫「呪文〜ヴァイオリンのための(…

林直樹、齋藤晋編著『撤退の農村計画』(3)

跡地管理の方法 撤退した後、あるいは結果的に集落が消えてしまった後、その土地をどう管理するかが大問題だ。 どんな問題があり、どんな対策があるのか、『撤退の農村計画』から幾つか紹介しよう。 放棄地、所有者不明の土地 都市計画の改革の議論でも、管…

林直樹、齋藤晋編著『撤退の農村計画』(2)

撤退の農村計画 集落に撤退の検討を薦める、この言いにくい問題に正面から立ち向かったのが林直樹さんほかによる『撤退の農村計画』だ。 もちろん一つでも集落の消滅を減らすように努力することに反対する本ではない。 だが人口減少と高齢化という圧倒的な現…

林直樹、齋藤晋編著『撤退の農村計画』(1)

国土交通省と総務省の2007年の調査によれば、10年以内に消滅の可能性がある集落は全国で423、「いずれ消滅」を含めると2643にのぼるという(林直樹、齋藤晋編著『撤退の農村計画』、p11)。 国土交通省の調査では過疎地の集落は6万ちょっとなので、わずか4…

第4回季刊まちづくり26号読書会(3)〜都市農地

提案13.都市内に散在する農地を環境整備に活かせ 農地と宅地が混在する市街化区域をどうするか 柴田祐さんは兵庫県の太子町の市街化区域内に農地がたくさん残っている様子を示し、これをどうするのかと問題を提起された(p56、図1)。 本来、10年以内に市街…