2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

第4回季刊まちづくり26号読書会(2)〜環境・生態系の視点

提案08.環境・生態系の視点を都市計画制度に位置づける 田中貴宏さんは広島大学で、建築環境や都市環境を専攻されている。 都市政策になにかを提案するというよりも、都市の物理的な環境を認識科学的に研究している。 したがって学問的な立場から、科学的知…

第4回季刊まちづくり26号読書会(1)〜都市計画区域

連続4回の季刊まちづくり26号の特集「地域づくりの視点から都市計画制度に提案する」をめぐるワークショップが終わった。 よくまあ、4回もやってくださったものだと感心する。 大げさに言えば、東京での討論会や今回のワークショップは、本や雑誌づくりの一…

宇沢弘文『「成田」とは何か』(2)

住民が大切にしたもの 第一回公開シンポジウムでの石毛博道さんの意見発表は心を打つ。 「つねに指摘してきたように、運輸省と関係住民、関係市町村の公開討論の場は、空港位置決定のときに、当然、開かれるべきであったからです」。 「もし1966年にこのよう…

宇沢弘文『「成田」とは何か』(1)

宇沢弘文さんと成田闘争 宇沢弘文さんと言えば、近代経済学の泰斗であると同時に、『自動車の社会的費用』(岩波新書、1974年)で「外部不経済」という考え方を広く世に知らしめた人である。 都市計画学会の50周年記念大会が早稲田で開かれたとき、記念講演に…

特報・『地域ブランドと魅力あるまちづくり』その3

地域資源が生み出すブランド 重要なのは「その地域がもつ地域資源(自然、歴史・文化、地場産業等)から生み出されるもの」という考え方だと思う。 もちろん亀山ブランドの液晶テレビのように、その地域が持っていた地域資源とはつながりが弱い物もある。い…

特報・『地域ブランドと魅力あるまちづくり』その2

地域ブランドの捉え方 未定稿なので、詳細に引用しての紹介はできないし、ひょっとすると大きく変わるかもしれないが、佐々木一成さんの『地域ブランドと魅力あるまちづくり』は次の5章からなる予定だ。そして各章各節を裏付ける約40の事例が適宜紹介されて…

特報・『地域ブランドと魅力あるまちづくり』その1

いよいよ脱稿! 『観光振興と魅力あるまちづくり』の佐々木一成さんにお願いしていた『地域ブランドと魅力あるまちづくり』が、脱稿した。 お願いしたのは2年半ほど前。当時、すでにブームだったとはいえ、地域ブランド本は、関満博さんの本や、本当の専門…

『季刊まちづくり28号』発行間近(2)

景観法を生かした最近の取り組みから何を学ぶか 芦屋をはじめ、自治体の積極的な取り組みがはじまっている。 そのなかで一番残念なのは、事業者や設計者が明示的な基準を求め、「基準に合っていれば良いんでしょ」という姿勢に留まっていることだと小浦久子…

『季刊まちづくり28号』発行間近(1)

8月初旬ですが、八甫谷氏が制作・編集し、学芸が発売している『季刊まちづくり』9月1日号の校正を読みました。 もう印刷は終わり、9月1日には発売です。 ところで季刊まちづくり、来年の春で30号ですが、このままでは31号以降の継続が難しくなっていま…

藤井聡『正々堂々と「公共事業の雇用創出効果」を論ぜよ』(2)

失われた夢 どうして大衆は道路をはじめとした公共事業に不信感を持つようになったのだろうか。 政治との癒着、談合、環境破壊などなど枚挙に暇がないが、藤井さんも指摘されているように、バブル時代に、アメリカの要請に応えてやたらと公共事業を膨張させ…

藤井聡『正々堂々と「公共事業の雇用創出効果」を論ぜよ』(1)

コンパクトシティ 著者の藤井聡さんは現在、京都大学工学部で土木計画、とくに交通計画を教えておられる。 交通図書賞を受賞された『モビリティ・マネジメント入門』は東京工業大学におられた頃に、僕が担当して書いて頂いた本だ。 そのとき、最初にいただい…

高松平蔵さんのセミナー『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(2)

ドイツの政治と官僚事情 ドイツは政治家と官僚の役割が日本と随分違う。 小さな街でも、大臣に相当する政治家のポストがあり、たとえば文化大臣がいる。その役目は「まちの戦略として文化をどう扱うか」を示すことだ。 たいして官僚は専門家だという。たとえ…

高松平蔵さんのセミナー『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(1)

8月2日の高松さんの講演会も盛況でした。 おいでいただいた皆さん、有り難う。 正式な記録は下記にあるので見てください。ここでは興味深かったことをいくつか取り上げて紹介します。 ○担当編集者による正式記録 http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1008ta…

PPS著『オープンスペースを魅力的にする』

W.H.ホワイト 8月14日に紹介したパブリックスタイルで思い出したのだが、公共空間の利用についての研究と実践では、W.H.ホワイトが有名だ。 ホワイトとの出会いは学生の頃だった。 僕はバイト先で『LDK研究』を手伝った。リビングに何秒かに一こまを撮影…

お盆休みの過ごし方、一押しは「怪談・幽女執念」

今年は金曜日から休もうと思っていたが、仕事がはからずに出社。 結局、土曜日から月曜までの3連休にしかできなかった。そのうえ、今年は日帰り旅行すら予定が立っていない。 そのかわり、この3連休は毎日、公演を見に行った。やっぱり、生だよ、生。 クレ…

好井裕明『「あたりまえ」を疑う社会学』(2)

今日はいよいよ、「あたりまえ」を疑うの真骨頂、普通であることとは何かについての議論だ。 語り出す 大阪の同和地区の識字学校の方々の文集に、好井さんは「一つ一つが、書かれた人の生活に根ざし、生きてきた力が感じられる」という。文字を書くという力…

好井裕明『「あたりまえ」を疑う社会学』(1)

連れ合いが買ってきた好井裕明さんの『「あたりまえ」を疑う社会学』を読んだ。 出だしのとっつきやすさと、大衆演劇の世界に入り込んでしまった鵜飼正樹さんの話に引かれたようだが、数十ページも読まないうちに放り出してある。 光文社新書なので軽いのか…

第3回季刊まちづくり26号読書会(3)

提案16.新しい都市のパブリックスタイルを育む 問題提起 武田重昭さんからは提案16について説明があった。 まず最初に (1)建設・管理から、使いこなし魅力を共有する施策へ (2)私的な生活の充実から、社会的な生活の充実へ (3)都市の基盤整備から、…

第3回季刊まちづくり26号読書会(2)

嘉名さんの報告のあと、意見交換が行われた。 誰がルールを決めるのか 論点は3つあった。 一つは、そもそも合意がないところに、どのようなルールを、誰が作りうるのか、という点だ。 そもそも補完性の原理から言えば、地元でルールをつくれるようにすべき…

第3回季刊まちづくり26号読書会(1)

26号の読書会が開かれた。今回は下記の方々から報告があり、議論された。 うち提案04と16について報告し、07については別の機会に紹介したい。・提案04.都市計画に地域マネジメントの主体を位置づける:嘉名光市 ・提案16.新しい都市のパブリックスタイルを…

イタリア世界遺産物語〜人びとが愛したスローなまちづくり

セミナー無事終了 8月5日、宗田好史さんのセミナーが無事に終わった。 最初は申し込みが少なく、どうなるのかと心配したが、ボチボチ、ボチボチと申し込みが増え、最後は50人を超えたうえ、キャンセルが少なく、参加者数も50人を超えた。 来てくださっ…

原科幸彦『環境アセス法案の動向』(2)

ミニ・アセスの試行 東京工業大学のすずかけ台キャンパスに高層建築棟を建設する際に、横浜市からの環境配慮への要望に応えるためと、地元住民への説明のために、自主的にミニアセスメントを行った。 詳細は下記にあるが、3ヶ月間、500万円でできたという。…

原科幸彦『環境アセス法案の動向』(1)

7月23日にCEIS環境サロンで行われた原科さんの講演を聞いた。 主題は継続審議になっている環境アセスの改正法の内容と行方だ。 原科さんの結論を言えば、問題が多い改正案だが、衆議院で継続審議になっており、選挙前の衆議院の担当委員会の様子からは、残…

斎藤純『ペダリスト宣言!』

ペダリストとは斎藤さんの造語だ。サイクリストがサイクリングと一対で、レジャーとしての自転車愛好家を意味するのに対して、日常的な場面での愛好も含めた言葉だという。 またチャリダーという言葉もあるが、自転車を盗んでオートバイの集会に駆けつけるこ…

知的書評合戦ビブリオバトル

1ヶ月ほど前、7月13日の読売新聞夕刊に「本屋ネット対抗作戦」という記事が載っていた。 本をアマゾン等のネットで購入する人が2割を超え、電子書籍の本格化を前に、リアル書店の危機が囁かれる今、実在の店舗の魅力を発揮しようとの試みだという。 面白い…

コミュニティ・ビジネスとは(特報(3))

さて、昨日、イギリスの例をあげての定義では日本に馴染まないと言ったが、なぜか。 それは、もっとも肝心な「コミュニティが設立・所有し、運営を行う経済組織」に相当する考えが日本にはないからだ。 石井和平氏はスコットランドでこの考え方が成り立つの…

コミュニティ・ビジネスを知ったのは(特報(2))

僕がコミュニティ・ビジネスという言葉に出会ったのは『都市のリ・デザイン』という本だ。その第2章で加藤恵正さんが「エコノミー&コミュニティ/ブランチ経済から地域に根ざした参加の経済へ」というタイトルで書かれていた。 当時、支店経済の再編成が話…

『〈新版〉コミュニティ・ビジネス』(特報(1))

脱稿間近! 細内信孝さんの『〈新版〉コミュニティ・ビジネス』の草稿を読んだ。 かなり良くまとまっているので、もうすぐ脱稿だ。秋には皆さんのお手元にお届けすることができる。期待してください。 ところで旧著『コミュニティ・ビジネス』は1999年に中央…

『まちづくりコーディネーター』セミナー開催(2)

まちづくりコーディネーターとは何か 昨今、住民主体のまちづくりへの期待が高い。地域のことは地域の人々が主体的に決めていくべきという美しい話と、お金も人も足りないのでドブ板行政をいつまでも続けられないという行政側の現実があるのだろう。 しかし…

『まちづくりコーディネーター』セミナー開催(1)

セミナー開催 本の出版1周年記念と、販売梃子入れを兼ねてセミナーを開催することにした。 編者のリムボンさんは快く引き受けてくれたのだが、出てきた趣旨文を見ると、「……喧嘩、売ります!……」とある。 なんだ、喧嘩だって!?、見に行かなきゃ!! 詳し…