2011-01-01から1年間の記事一覧

飯田哲也『原発の終わり、これからの社会 エネルギー政策のイノベーション』

これはスタッフの宮本さんが、飯田さんにアタックしてものにした本だ。 専門誌に寄稿されたものを中心に再構成したので、飯田さんの本としてはやや硬派かもしれないが、より詳しく知りたい人にはお薦めしたい。 それはともかく、本書のうち、僕が注目したい…

チャイナ・シンドローム

BSで放映していたチャイナ・シンドロームを見た。 1979年製作のアメリカ映画。スリーマイル島事故の直前に公開されてため、話題になった作品だ。 当時も見たのだが、覚えていたのは公聴会の風景だけだった。公聴会なのに地域に住む子供の名前を読み上げるだ…

岸川政之著『高校生レストランの奇跡』

三重県に高校生のお店ができて流行っている。町おこしの成功例だという話は聞いていたが、総務省の京都セミナーで仕掛け人の岸川さんのお話を初めて聞くことができた。 当日は、高橋一夫さんも講演され、また椎川さんの紹介もあって、関連書※0を売るべく受…

チェスター・リーブス著『世界が賞賛した日本の町の秘密』

訳者の服部圭郎さんからお送り頂いた。 開けてみると「ママチャリ絶賛」の本だった。面白くて、合間を見て読み通してしまった。 ママチャリという安価で環境に優しく健康にも良い移動手段で、日常的な移動の多くがすませてしまえる「自転車町内」の素晴らし…

大沼紀子『真夜中のパン屋さん』

嫁さんが「3ヶ月で12刷りになっている。どんな本だろう」と買ってきて、夜に読み出したら止まらずに、夜明けまで読んでしまったというので、読んでみた。 都会の片隅、首都高と国道246号が重なり合う街、世田谷通りに面した駅前から入った住宅街にあると…

太田肇『公務員革命』

公務員、もっと頑張れ!という本。 『「見せかけの勤勉」の正体』と主張が似ているなと思ったら、同じ著者だった。 仕事上の制約をなるべく減らし、成果があれば認められること、それも出来れば役所の外、市民に認められることがやる気の源泉だということ。…

開沼博『フクシマ「論」』

2011年1月14日に書き上げられ、2月に受理された修士論文に若干の手を加えて6月に出版された本だ。 著者は東大で社会学を学び、吉見俊哉、上野千鶴子に学んだという。 帯には上野さんの「原発は戦後成長のアイコンだった。フクシマを生み出した欲望に…

TPP

日曜日にテレビをつけたら前原誠司さんがTPPと農業の関係を話していた。 「TPPで日本の農業がダメになるというより、それ以前に農業は死にかけている。担い手が高齢化し、米に限れば平均70歳だ。だからTPPをきっかけに再生に取り組むことが大事だ」といった…

京都ブランド

昔、一緒に仕事をしてくれていたMさんと、その娘さんに久しぶりにあった。 Mさんは小さい頃は清水寺の滝をプール代わりにして遊んでいたという京都人で、ほんの数年前まで京都にいたのだが、事情があって東京に行ってしまった。 久しぶりに京都にくると、ど…

原発防災圏 半径30キロ了承

NHKによると「国の原子力安全委員会の専門部会は、原発から半径30キロとする作業部会がまとめた案を最終的に了承した」という。 なかには「地元企業の移転を招きかねない」という自治体関係者もいたということだが、いったい何を考えているのだろう。 阪神…

総合計画と都市マス(2)

薄められる創業計画の価値観 言葉が置き換えられることによって、違和感が生じているのは、特に「経済」だ。 京プランにある「環境と社会に貢献する産業」「真のワーク・ライフ・バランス」が経済に関する将来像とされているが、都市マスは「活力ある都市」…

総合計画と都市マス(1)

11月1日付の『市民しんぶん』に総合計画にあたる「はばただけ未来へ! 京プラン」実施計画と、都市計画マスタープランの案(概要)が載っていた。これからパブリックコメントに掛けるそうだ。 市民の義務として、なにか意見をいわなきゃいかんのだろうな〜と…

風俗店規制と景観保全

文教施設の200m以内で風俗案内所の禁止を定めた京都府「風俗案内所の規制に関する条例」の施行1周年ということで、京都新聞にレポート記事が載っていた。 記事の趣旨は、無料案内所はなくなったが、キャッチと呼ばれる路上での集客が増えたというものだ…

ギリシャ危機

今朝、3日の朝のBSニュースは、各国ともトップはギリシャ危機一色だった。 なんでもギリシャがEUと合意した対策を、否決される公算が高い国民投票にかけることになったために、ギリシャも大変なことになって、EU各国も大迷惑、ひいては世界も大変なことにな…

『都市・まちづくり学入門』(日本都市計画学会関西支部新しい都市計画教程研究会編)(2)

本書は「結果自然成(けっかじねんになりる)」の「都市・まちづくり学」を一から十まで解説しているかというと、そうではない。そういった姿勢で従来の都市計画・まちづくりを見渡してみて、これは鍵になりそうだという話題を拾い、光を当て直している。だ…

『都市・まちづくり学入門』(日本都市計画学会関西支部新しい都市計画教程研究会編)(1)

この本は都市計画学会関西支部の20周年記念事業として、久隆浩さんを始めとする新しい都市計画教程研究会が取り組み上梓されたものだ。 その執筆の過程で、この春に「近未来の都市計画教科書制作 ミニ・ワークショップ」として執筆概要を報告頂き、公開で…

自転車の走行対策を厳格化2

先日、触れた自転車の走行対策の厳格化だが、下記にある警察庁の通達の原文を読んでみた。 http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/taisaku/tsuutatu.pdf 歩道上での自転車の無法振りが目に余るから車道に追い出そうとしているような言い方が前面に出…

『いま、都市をつくる仕事』(日本都市計画学会関西支部・次世代の「都市をつくる仕事」研究会)(2)

都市をつくるとは、どういうことか(続く) 昨日も「つくる」という言葉にこだわったが、今日はもう少し「都市をつくる仕事」の中味を見てみたい。 都市をつくる仕事は、都市計画、都市開発とはイコールではないだろう。 都市に関わっている、魅力的にしてい…

携帯修理の悲惨

携帯が壊れたので昨日ヨドバシのauショップに行った。 すると、免許証か保険証がないと受け付けられないと言う。メーカーに問い合わせてくれたが、絶対ダメという。 仕方がないので、今日、出直した。 するとせっかく持ってきた免許証を見もしない。バカにし…

『いま、都市をつくる仕事』(日本都市計画学会関西支部・次世代の「都市をつくる仕事」研究会)(1)

若手の仕事観が分かる本 本書は先日紹介した『都市・まちづくり学入門』とともに、日本都市計画学会関西支部20周年を記念して上梓された本だ。身内では『都市・まちづくり学入門』は中堅本、こちらは若手本と呼んでいた。というのは書き手が前者が一人を除…

自転車の走行対策を厳格化

10月26日の新聞が警察庁が歩道走行対策を厳格化すると一斉に伝えていた。 歩道上の走行を認める要件も従来の2mから3mに変えるそうだ。 歩道は歩行者のものだ。車道を走るべきだ。朝日新聞は社説で自転車が犠牲になる事故が相次いだ時「緊急的に歩道走行…

安田亘宏、才原清一郎『食旅と農商工連携』

『食旅と観光まちづくり』に続く食旅シリーズ、第二弾。 食旅というのは「食」を主目的とした旅でフードツーリズムとほぼ同じ意味だ。 一方、農商工連携は昨今の政策用語で、農業など一次産業と二次、三次産業がそれぞれの強みを生かして地域の特産物を生み…

石井淳蔵・高橋一夫編「観光のビジネスモデル〜利益を生み出す仕組みを考える〜」(2)

昨日は、人手をかけることの重要性の指摘だった。 今日紹介する経験価値も、多くの場合、人手をかけることで提供できる物だ。 経験価値 経験価値がこれからの流れだと原稿に書かれていた。 大量生産大量消費が飽きられ、単に所有することでは満足が得られな…

石井淳蔵・高橋一夫編「観光のビジネスモデル〜利益を生み出す仕組み考える〜」(1)

12月に出版する標記の本の校正を読んだ。 編者は石井淳蔵(流通科学大学学長)と高橋一夫(流通科学大学サービス産業学部 教授)。石井さんはマーケティングではトップクラスの学者だ。 もともとは観光業界の若い人たちが夢をもてるように「明るい観光の未…

ミツバチの羽音と地球の回転

遅ればせながら「ミツバチの羽音と地球の回転」を見にいってきた。 同志社の寒梅館ホールでの上映会で、一般は1000円。 同志社関係者は無料ということだし、時間もギリギリになってしまったので、満員だと困るなと思いつつ駆けつけたのだが、ガラガラ。…

イタチを見た

あれは絶対、イタチだと思う。 10時前に、西本願寺の西のほうの通りを北へ向かって自転車で走っていたら、突然、目の前を走り抜け、塀の小さな穴に消えていった。体長30センチぐらい。猫に似ているが、俄然、スマートでどこか違う。あれはイタチだと思う…

シビックプライド会議&三浦展『愛国消費』

10月9日に東京でシビックプライド会議というものがあって、誘われてその実況をユーストリームで見た。 シビックプライド シビックプライド会議は2008年に『シビックプライド』という本を出している。A5、224ページ、オールカラーで1900円+税という超お得な…

椎川忍『緑の分権改革〜あるものを生かす地域力創造』

椎川忍さんの『緑の分権改革(仮称)』の校正を読み終えた。 緑の分権改革というのは、民主党が政権を取ったあと、総務大臣になった原口一博さんが打ち上げた構想で、クリーンエネルギーとIT、食料、歴史文化資産等の地域資源、地域の人材を最大限活用しなが…

有川浩『阪急電車』と北村隆一『ポストモータリゼーション』

『ポストモータリゼーション』という本を編集いただいた北村隆一先生は、自家用車の非公共性をいつも厳しく指弾されていた。 普通、自動車の問題と言えば、二酸化炭素をまき散らしているとか、大気汚染、そして交通事故が津波よりも遥かに多くの人に死をもた…

バイ・アメリカン

最近のNHKのニュースでアメリカで「アメリカ製品を買おう」という動きが盛んだと報じていた。ABCテレビがキャンペーンをはり、アメリカ製品だけを売っているお店には観光バスまで乗り付けているという。 そこで言われていることは「多少高くても、みんながア…