総合計画と都市マス(2)

薄められる創業計画の価値観

 言葉が置き換えられることによって、違和感が生じているのは、特に「経済」だ。


 京プランにある「環境と社会に貢献する産業」「真のワーク・ライフ・バランス」が経済に関する将来像とされているが、都市マスは「活力ある都市」と、従来の紋切り型と変わらない。その中身は①にぎわいのある都市、②ものづくり都市、③質の高い観光都市、だそうだ。全体的に京プランにあった「真のワーク・ライフ・バランス」といった新しい価値観が、ぬぐい去られている。


 そのためか都市マスの方針では、【土地利用】では「にぎわいを生み出す都心部の魅力向上」「公共交通の拠点での複合的な商業業務施設の集積」「特色ある通りの形成」や「ものづくり拠点の形成−生産機能の高度化と都市環境の整備改善」がうたわれており、先ほどの①や②を受けてはいるが、京プランの理念は顧みられていない。


 まして【道路】にいたっては、「ものづくり都市・京都」を支える幹線道路ネットワークの充実をうたっている。だいたい「ものづくり都市」って何なんだろう。大量生産の工業製品ではなく、歴史や文化が感じられる手づくり感のあるもの、願わくば高級品というイメージはあるが、【道路】で念頭に置かれているのは、単なる「もの」、工業製の大量生産品ではないのだろうか。手づくり、高級品を目ざすなら、従来めざしていたような規模のネットワークは必要ないのではないか?


 都市マスにも、とくに【歩くまち】など、是非、実現したいことも書かれている。
 だから、あんまり悪口は言いたくないのだが、せっかく京プランで都市像を描いているのだから、それを正面から受け止めて、都市計画は何ができるか、すべきかを書いて欲しいものだ。


(おわり)