太田肇『公務員革命』

 公務員、もっと頑張れ!という本。
 『「見せかけの勤勉」の正体』と主張が似ているなと思ったら、同じ著者だった。


 仕事上の制約をなるべく減らし、成果があれば認められること、それも出来れば役所の外、市民に認められることがやる気の源泉だということ。また管理職が過剰で、その結果、どうでもいい細かいことまで管理され、現場も管理職もやる気をなくしてしまうこと。だから年齢が上がったからと管理専門の管理職にせず、自らも現場の仕事をするプレイングマネージャーとすることなどが提案されている。


 同感するのは、過剰な公務員バッシングが世の中を不幸にしているという指摘だ。
 最近では公務員宿舎の建設問題がクローズアップされていたが、あんなことをワイワイやる必要があるのだろうか。やるなら、公務員宿舎の問題をきちんと取材して調査報道をやるべきだろう。
 あまりにも気まぐれで、表面的だと思う。


 「公僕」という言葉にも問題があるという指摘も同感だ。
 公務員バッシングのおりに、公務員は「公僕」なんだから・・と言われる時、官への恨みを晴らす嗜虐性が隠されていないか。私(市民)を見下しことに対し、「僕(しもべ)」と呼んで見下す快感・・・とても非生産的だ。

 だいたい、公務員が公僕なら、社員は会社の利益に奉仕する「社僕」なのか。市民や会社(株主)は「ご主人様」か?


 官僚が市民に対して主人のように振る舞っていた過去があるから、仕方がないとは言え、「僕(しもべ)」に変わる良い言葉を見つけたいものだ。


(おわり)


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