2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

黒野伸一『限界集落株式会社』

帯には逆転満塁ホームランの地域活性エンターテイメントとうたっている。実際、サクセス&ラブストリーで、まあ、堅いことを考えなければ、楽しめる本だ。 ビックリしたのは、次の場面。 就農研修にきた千秋が聞く。 「だけどこの村、いずれ本当に消滅しちゃ…

花街の建築と景観+舞妓さん遊び

新潟大学の岡崎さんに誘われて弘道館で行われた「花街の建築と景観」というセミナーに嫁さんと一緒に出かけた。お目当ては終わってからの舞妓さん遊び体験。二人とも一度も経験したことがないし、一生に一度ぐらいは体験したい、というのでいさんで出掛けた…

竹内昌義『原発と建築家』、内田雄造追悼文集『ゆっくりとラジカルに』

3.11から1年がたち、原発事故の強烈な印象もだんだん薄れてきた。 昔、黒澤明の映画※1を見て、きっとこうなるんだろうと恐れていた破局と比べると、ずっと影響が少なく、人が目の前でバタバタ死ぬという事態にはなっていない。ひょっとすると首都圏3000万人…

藤崎達也著『観光ガイド事業入門』

日本でもようやくエコツアーをはじめとしたガイド事業が育ってきている。 なかには、まちの誇りやアイデンティティを取り戻すことを目的とした、非収益事業として行われているものも多いが、中途半端な物もあるし、収益事業を目指しながらもうまく行っていな…

谷口浩司編著『マンション管理評価読本』

昔、家を探していた時、中古マンションも見に行った。 驚いたことに、平面図すらちゃんとしたものがないマンションが多かった。立地と築年数と見てくれだけが頼りで、構造すら分からない。これじゃ、よほど目利きでないと安心して買えないと、諦めた。 昨今…

森巣博『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』

日本の現状を糞味噌にけなした本。 とりわけ大手マスコミの堕落にたいして厳しい。 「利潤の私益化、費用の社会化」が新自由主義思想のキモという断定は、スッキリしていて気持ちが良い。だが、読んでいて明るい気分にはなれない。もう、ほとんど絶望という…

水野和夫・萱野稔人『超マクロ展望〜世界経済の真実』

藻谷浩介さんが人口減少を根拠に日本のデフレの不可避性を説いているとすれば、こちらは500年という長いスパンのなかで、世界全体のデフレ、成長の終焉を説いている本だ。 水野さんによると、70年頃から、資本主義は生産で稼ぐことができなくなり、金融資…

『都市・まちづくり学入門』『いま、都市をつくる仕事』クロストーク3

『いま、都市をつくる仕事』での議論 ところで、『いま、都市をつくる仕事』は1章が「都市へのアプローチ」と銘打って、新しい仕事の仕方をしている10人を紹介し、2章では「ひろがる仕事のかたち」と銘打って「企業系」「政治・行政系」「研究系」「NPO…

『都市・まちづくり学入門』『いま、都市をつくる仕事』クロストーク2

『都市・まちづくり学入門』での議論 では、どうするのか。 『都市・まちづくり学入門』では、枠組みの議論は深めている。 たとえば松村暢彦さんは「8章 まちづくりを担う市民」のなかで、似田貝さんの「都市政策と「公共性」をめぐる住民諸活動」という図…

『都市・まちづくり学入門』『いま、都市をつくる仕事』クロストーク 1

「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk この二つの本は、都市計画学会関西支部の20周年事業のなかで書かれたものだ。だが、著者同士も知らないなかでもないのに、お互い何を考えているのか話すこともあまりなかったね、と柴田さんが山崎さんに話した…

滝川薫編集、村上敦、池田憲昭、田代かおる、近江まどか著『100%再生可能〜欧州のエネルギー自立地域』

この本は、福島原発事故の後、お付き合いのあった欧州在住の日本人ジャーナリストからスタッフの宮本にお話があり実現した。「「フクシマ」という重く深刻な運命的打撃を受け、それを背負って生きていかなければならない祖国に、新しい夢とビジョンを与えた…

『季刊まちづくり34号』

東京では違うのかもしれないが、関西では、復興が進んでいるのかどうかすら、さっぱり分からない。 その点、自画自賛になるが、『季刊まちづくり34号』は、震災1年目の現地の状況を「都市計画・まちづくり」という視点から多面的に紹介している。ああ、や…

鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義』

小泉さんが人気が高かったころ、知り合いのバイトの子が「改革大賛成!」「労働力の自由化、是非やるべき」というのを聞いて、とても奇異に感じたことがある。 言われていた労働力の流動化は、どう考えても労働市場で弱い立場にある彼らを圧迫するし、彼らを…