『都市・まちづくり学入門』『いま、都市をつくる仕事』クロストーク 1

「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk

 この二つの本は、都市計画学会関西支部の20周年事業のなかで書かれたものだ。だが、著者同士も知らないなかでもないのに、お互い何を考えているのか話すこともあまりなかったね、と柴田さんが山崎さんに話したことがきっかけで、クロストークをやろうじゃないかということになった。

 『都市・まちづくり学入門』の出版記念セミナー&懇親会で、嘉名さんが「三つぐらい切り口がある」と言ってくれて、それじゃあということで、『いま、都市をつくる仕事』の山崎さん、武田さんに改めて呼びかけたところ、快諾いただけた。

 でも、顔を見ないと雰囲気も掴めないしという山崎さんの希望で、山崎、久、柴田さんと僕が参加して「どんな会にしようか」と話し合った。
 楽しい会合だったので、会も楽しくなりそうだ。

まちづくりで飯が食える?

 久さんは『都市・まちづくり学入門』で、国家・行政(権力)と経済(お金)で大きくつくる都市計画から、これからはボランタリー(自発的)な共感・関与による「なる都市・まちづくり」の役割が大きくなるのではないかと書いているのだが、『いま、都市をつくる仕事』で取り上げられているケースは、まさにその動きを取り上げているのではないかということだ(表1は『都市・まちづくり学入門より』)。

 それに対して山崎さんはボランタリーではなく、ビジネスも大事にしたいと言われた。

 その通り。紛らわしい点があるのは反省点だが、ボランタリーとは自発的という意味で使われており、無報酬を意味しない。だから、それも共通している。
 しかし両書ともボランタリー領域で生活費を稼ぐ方法をはっきりとは示せていない。
 もちろん行政マンでもプランナー、コンサルタント、あるいはゼネコンの社員でもボランタリーな気持ちで仕事をしている人は多いだろう。だけど、そういう行政や、ハード事業の前さばきのようなあり方ではなく、まちづくり支援そのものがソーシャルビジネスとして成り立つ可能性はあるのだろうか。

 阪神大震災のあと、まちづくりへのコンサル派遣等に行政が積極的になって、さらに広い意味でのまちづくりの助っ人、まちづくりコーディネーターを支えるのではないかと期待された時期もあったが、広がらなかった。(京都では、それなりに続いていて『まちづくりコーディネーター』という本も書いてもらったが、需要がないからか、売れ行きは厳しい)。

 ドイツの社会都市を紹介した『コミュニティ・マネージメント』でも、コミュニティに入りコミュニティの力を引き出すコミュニティ・マネージャーを紹介している。ある程度、売れたけれど、だからそういう制度を早速導入しようとなるわけではない。

 コンクリートから人へというなら、こういう職能にお金を回して欲しかったのだが、今回の震災では大規模事業や復興特区の話ばかりで、中越大震災のときに活躍した復興支援員すら、お呼びではないようだ。
 これでは行政に期待するのは難しそうだ。
 では、どうするのか。Crosstalk#3で語り合いたい。

(続く)


○「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk
#1都市をつくる役割を考える
 魚谷繁礼×梶隼平×鄭英柱×佐久間康富×武田重昭
 3.17 京都
#2「まち飯」の面々
 いま、都市をつくる仕事に、もの申す。
 4月上旬
#3久隆浩と「なる都市」の方々
 まちづくりで飯が喰える時代がくる!くる?
 山崎義人×柴田祐×松村暢彦×坂井信行
 ×嘉名光市×武田重昭×佐久間康富他
 4.12 大阪
詳細&申込み
http://web.me.com/yoshito_yama/Crosstalk/About.html


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いま、都市をつくる仕事: 未来を拓くもうひとつの関わり方
都市・まちづくり学入門
ドイツの地域再生戦略 コミュニティマネージメント
まちづくりコーディネーター