2010-01-01から1年間の記事一覧

雪の京(大晦日)

今年の最後の日、京都は雪だ。 お餅と豆腐を買いに行く。向かい風が冷たい。 例年は店の前にお餅を広げているお店も、今日は店のなかにしまい込んでいた。 豆腐屋さんは豆腐は売り切れ。焼き豆腐を買う。 夜のジルベスターコンサート、は楽しみだが、帰れる…

トスカニーニのインターナショナル

NHKでワグナー特集をやっていた。 そのなかにトスカニーニが1944年に録画したヴェルディの「諸国民の賛歌」が入っていた。 なんでもイタリア独立の頃、愛国者ヴェルディがのちにイタリア国歌となる「イタリアの同胞よ」を主軸に、当時イタリア独立に…

足立基治『シャッター通り再生計画』(3)

観光による活性化 取り上げられたこれらの事例は、県庁所在地を除くと観光で著名な街だ。 豊後高田と長浜、温泉町でもある鳴子町や輪島市はもちろん、八戸もみろく横丁やB級グルメ、市場など食旅で注目されている。 確かに観光は大きな要素だと明言されてい…

足立基治『シャッター通り再生計画』(2)

12月9日に紹介した本をようやく読み終えた。 足立さんは和歌山大学経済学部の先生で、和歌山市で中心市街地活性化に取り組み、オープンカフェやレンタルカフェの試みを成功させた人だ。 その再生計画の枠組みは三つのSにある。 三つのS 第一のSはセンチ…

徳野貞雄『農村の幸せ、都会の幸せ』(3)

農山村の根本問題 どうも田舎にはまだ「跡継ぎは男の子だから」という意識が強いらしい。だが、東京に住んでいる長男などなんの役にも立たない。夫婦別姓のところでも触れたが、まず、家を長男が継ぐという近代以降の観念を捨て、ずーと長い伝統がある柔軟な…

徳野貞雄『農村の幸せ、都会の幸せ』(2)

『撤退の農村計画』を巡っても、農山村の定住意向が強いことが話題になっていた。 身体が元気な内は問題ないのだが、動かなくなったら困る。そのとき、頼りにされているのは、やはり子供だという。しかしその子供がいつ帰って来るのかは分からない。 そこで…

徳野貞雄『農村の幸せ、都会の幸せ』(1)

今の日本は1500年間続いた「自分の食は自分でつくる」という安定した暮らしが変わってしまい、不安に駆られているのではないか、という時間的スケールの大きな問いかけから始まる真面目な本だ。 だから、この本のごく一部なのだが、花嫁作戦の話が面白かった…

コミュニティ・ビジネスとソーシャル・ビジネス(3)

コミュニティ・ビジネスは常にソーシャル・ビジネスか? コミュニティ・ビジネスが、常にソーシャル・ビジネスと重なるかというと、これも疑問がある。 たとえば農家のおばさんたちが自律的に取り組んでいる直売所は、地域密着の小さな商売だし、地域の雇用…

コミュニティ・ビジネスとソーシャル・ビジネス(2)

ソーシャル・ビジネスと「三方良し」の企業倫理は一緒か? 昨日は社会性のあるビジネスがソーシャル・ビジネスだと言った。 だが『目に見えない資本主義』で紹介したように、日本型経営に「本業を通して社会に貢献しよう」「売り手良し、買い手良し、世間良…

コミュニティ・ビジネスとソーシャル・ビジネス(1)

コミュニティ・ビジネスとソーシャル・ビジネスの違い 8月4日に紹介した細内信孝著『『新版 コミュニティ・ビジネス』が20日に発売できる。 コミュニティ・ビジネスの定本の新版なので、是非、見て頂きたい。 ところで、最近はコミュニティ・ビジネスよ…

井田徹治『生物多様性とは何か』(4)

多様性とどうつき合うか 最初に書いたように、人間による自然破壊から保護区を設けて生物多様性を守ろうというのには大賛成だ。『生物多様性とは何か』には、貨幣価値に換算してどうなるとか、保護区を設けたほうがかえって漁獲高が増えるとか、いろいろと書…

井田徹治『生物多様性とは何か』(3)

生物多様性の保全とエコツーリズム このような生物多様性の危機に対して、さまざまな取り組みがなされている。 国家レベルで国益をかけた闘いが行われているのはCOP10でも垣間見えたところだ。 一方では、地域から、地道に取り組まれている事例もある。 この…

井田徹治『生物多様性とは何か』(2)

生物多様性の重要性 もちろん、1千万〜1億とも言われる生物種のなかには、いまは知られていなくても、将来とても有用になるものがあるかもしれない。生物種がガンガン減ってしまえば、その可能性は少なくなる。 また環境の激変があったとき、生き残るために…

井田徹治『生物多様性とは何か』(1)

生物多様性条約締約国会議が名古屋で開かれたので、僕たちも林まゆみさんの『生物多様性をめざすまちづくり』を出し、セミナーも開いた。 だが、正確には知らないぞ、というわけで読んでみた。 生物多様性と生態系サービス 生物多様性の重要性については、生…

足立基浩『シャッター通り商店街』

「懐かしさを行動に変えれば、活気を取り戻せる」と帯にうたわれた本。経済学者が書いた「明日からはじめる活性化の極意」なのだそうだ。 まだ読み始めたばっかりなのだが、ちょっと面白い話が載っていたので紹介したい。 11ページで足立さんは、イギリス…

田坂広志『目に見えない資本主義』

はっきり言って、とても軽い本。 一番すごいところは1ページ16行のうち、なんと7行も1行アキをとっている。 それに、内容も軽い。 単純に言えば貨幣価値オンリーの時代が終わり、見えない価値が大切になる。実は日本的経営こそ、見えない価値を大切にし…

『地域開発』「リニア中央新幹線と地域開発」

今月号の『地域開発』の特集はリニア新幹線だ。 ちょうど東北新幹線が1971年の着工から約40年をへて全線開通した時に、35年後の完成を目指すリニア新幹線を取り上げるのは、なかなか洒落ている。 そのうえ中央新幹線の基本計画が策定されたのは1973年だと…

佐藤由美「食のまちづくり〜小浜発!おいしい地域力」

「私はこの年になるまで、ここがいいところだとか、食べているものがいいものだと思ったことはなかった。お客さんからここがいいところだといわれて初めて、ほんまやなあ、いいところやなあと思い、野菜がおいしいといわれて初めて、ほんまやなあ、おいしい…

京都の紅葉

今年も紅葉のシーズンになった。 というわけで、今日は紅葉の写真。 右は仙洞頭御所を望む。左は迎賓館(京都)前です。 紅葉が有名なところに行っても人ばかりやたら多くて大変、ということが多いなかで、御苑はすいている。 ゆっくりしたいなら、お薦めで…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(4)

今日は藻谷さんのセミナーのまとめとしよう。 「第3部 地価低下時代のまちづくりと、その担い手」では群馬県館林、富山市岩瀬浜、村上、長浜、神戸新開地、旧居留地、そして大丸有、高松丸亀商店街等が紹介された。 それぞれに学ぶベき点が多い事例だし、特…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(3)

藻谷さんの講演は次の三つに分かれていた。 第1部 衰退は景気のせいではない 第2部 デフレを活かした活性化の原因療法 第3部 地価低下時代のまちづくりと、その担い手 1部、2部では昨日と一昨日に紹介したように「中心市街地とは何か」「その意味は」「…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(2)

中心市街地はなぜ必要か 今回、改めてお話しを聞いて、中心市街地とは単なる繁華街でも商業地区でもなく、人が雑居し、雑踏があり、それゆえに個人が大資本に反転攻勢できる場だという話しが印象的だった。 藻谷さんによればアメリカの中心市街地の再生例で…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(1)

10月26日の藻谷さんのセミナーのテープ起こしの整理がようやく終わった。 『デフレの正体』が今年は大ヒットしたそうだが、中心市街地活性化の辛辣な論客としても知られている。7年ほど前に本づくりの相談をしたときから、その主張はほとんど変わっていない…

広井良典『持続可能な福祉社会』(3)

今日も、広井さんの本を紹介しよう。 関係性のハードとしての都市景観 広井さんは日本の農村地域にはそれなりの景観あるいは秩序があるのに、都市景観がこうまで醜いのは、「農村から都市に移ってきた日本人は、そこでは周りは自分にとってまったくなじみの…

広井良典『持続可能な福祉社会』(2)

引き続き、広井さんの本を紹介しよう。 人と人の関係性の再構築 そして、もうひとつは人と人の関係性の再構築である。 「日本人ないし日本社会は(“稲作の遺伝子”が支配する)農村型(ムラ社会)の関係性から、個人をベースとした、また見知らぬ個人同士が様…

広井良典『持続可能な福祉社会』(1)

広井さんの本は実にエキサイティングだ。 本書は、限りなき成長という時代が終わった今、どんな社会のかたちを目指すかを大胆に提言している。 人生前半の社会保障 その一つの柱は、社会保障を高齢期を中心に考えるのではなく、人生前半の教育や雇用にまで広…

水道の水、ペットボトルの水

ブログを書こうと思って整理用の日付を書いたら、101111だった。来年は111111と六つも1が並ぶことにな。 きっと何か関連づけを考える商売が出てくるだろう。 ところで、今月の環境市民のニュースレターは、「今なぜ水道水?」だった。 例によって、いかにミ…

季刊まちづくり29号、いよいよ印刷(2)

都市計画の近未来 さて、広原さんは別のところで「(私の考え方は)従来のハコモノ中心の都市計画論、都市開発論とは全く違います。むしろ社会学に近いまちづくり論かも知れません。でも、これが本当の京都のまちづくり論なのです」(注1)と言われている。…

季刊まちづくり29号、いよいよ印刷(1)

季刊まちづくり29号も、いよいよ印刷だ。 校正段階だが、集まった原稿を読ませて頂いた。そのなかから巻頭対談を紹介したい。 広原盛明×西村幸夫対談 広原盛明さんって、誰? 最初に聞いたとき、う〜ん、いまさら広原さんかと言ってしまった。 だが、ますま…

ヨドバシカメラ開店

オープン初日 京都ヨドバシカメラが開店した。 朝、店の前を通ると、それなりの人が並んでいた。 昼食に出ると、1階の店は結構アキがある感じだったが、メインの入口はそれなりだった。どういうわけか、ブルーレイのレコーダーの箱を抱えている人がやたらに…