足立基浩『シャッター通り商店街』



 「懐かしさを行動に変えれば、活気を取り戻せる」と帯にうたわれた本。経済学者が書いた「明日からはじめる活性化の極意」なのだそうだ。


 まだ読み始めたばっかりなのだが、ちょっと面白い話が載っていたので紹介したい。


 11ページで足立さんは、イギリスの包括的単一補助金(SRB)による再生例としてシェフィールドをとりあげている。
 「ここでは大規模な資金を投入して伝統ある中心市街地と中心地から5キロほど離れた超大型郊外型小売店舗「メドウホール」とを公共交通のLRTで結び、中心市街地の売上げが伸びた」そうだが、「その成功の秘訣は中心市街地商店街と郊外型店舗の差別化」にあり、「中心市街地は歴史的な街並みを楽しむ観光客やアミューズメント、郊外型店舗は買い物の拠点」としていることにある。そして「イギリスで(著者が)実施したアンケート調査でも、中心市街地の魅力のトップは「歩いて買い物することが楽しいから」であったという。


 これを読んで思うのだが、京都はこの構造にかなり似ている。
 昔は町はずれにだった京都駅前に、最近、イオンやヨドバシカメラができ、大衆的な買い物の拠点になっている。そして2キロほど離れた中心市街地とは地下鉄で結ばれている。中心市街地では歴史的町並みも少しは残っているし、足を少し延ばせば祇園南など本格的な町並みもある。また京都の老舗があり、海外のブランドショップなども増えている。


 だが、決定的に違うのは「歩いて楽しい」とは言い難いことだ。
 中心部から東山へ向かう四条通りをトランジットモールにしよう、その北側のエリアを歩行者優先にしようという話はだいぶ前からあり、市もその気になっているのだが、一部の反対を押し切れない。


 京都市の都市圏人口は250万程度でシェフィールドの約180万人よりも少しは多い。観光客も結構いるし、大規模な投資がいるわけでもない。
 僕が歩いて楽しめない体になる前に、なんとか実現できないものだろうか。


続く

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足立基浩『シャッター通り再生計画―明日からはじめる活性化の極意