2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

長坂泰之『中心市街地・活性化のツボ』(6)

従来型観光と体験型観光 次の事例は都市観光だ。「体験観光ネットワーク松浦党」の事例を紹介されたあと、まとめられている表が面白い。 従来型観光 体験型観光 簡単、楽(らく) 大変 やさしい むずかしい お手軽、すぐできる 時間がかかる 安全、雨天中止 …

室町通りの町家

僕の家から会社に行く途中、室町通りには少し町家が残っている。 そんなポツ、ポツと残る町家の中に、いくつか新しい形で活用されているお家がある。 たとえば、下の左の写真はアミタ持続可能経済研究所の京都事務所。なんだか怪しげな名前だなあと思ってい…

長坂泰之『中心市街地・活性化のツボ』(5)

昨日、予告したように草稿に紹介されている事例から幾つか紹介しよう。 誰も助けてくれないから自分たちでする これは中心市街地ではなく京都府の丹後半島の付け根にある京丹後市(旧大宮町)にある常吉村営百貨店という事例だ。 「地域の住民が諦めずにそし…

長坂泰之『中心市街地・活性化のツボ』(4)

何から手を付けるのか 郊外の問題もさることながら、中心市街地、とりわけ商店街が、行きたくてたまらない場所かというと、正直、そんな街がどれだけ残っているだろうか。不便だから中心市街地に行かないのではない、魅力がないから行かないのだ。 長坂さん…

長坂泰之『中心市街地・活性化のツボ』(3)

賑わいの復活か、持続可能性の獲得か 中活三法で商店街を切り捨てた政府も、さすがにこれではまずいと思ったのか、新中活三法では郊外の大型店規制に踏み込んだ。 ただ、規制をするかしないかは自治体に任された部分が多い。そのため、積極的な規制策を導入…

長坂泰之『中心市街地・活性化のツボ』(2)

まちなかが失ったもの・こと 長坂さんは大店法廃止後の10年間で僕たちが何を得、何を失ったのか、「まちなかと郊外で増えたこと・ものと減ったもの・こと」から考えようと、これらを数え上げておられる。 まちなかで増えたもの・ことは、シャッター街、ど…

長坂泰之『中心市街地・活性化のツボ』(1)

長坂泰之さんが『中心市街地・活性化のツボ』の原稿を書いてくださった。長坂さんは『失敗に学ぶ中心市街地活性化―英国のコンパクトなまちづくりと日本の先進事例』を横森豊雄さん、久場清弘さんとともに書いて下さった方で、この本の編集・レイアウトを担当…

ソーシャル・キッチン

嫁さんが近所にコミュニティ・カフェが出来たというので行ってみた。 嫁さんは「若いピチピチした女の子がやっていて、近所のおじいちゃんやおばあちゃんがたまっている」と雑誌で読んだという。それは良い、そのうちお世話になるに違いないと、行ってみるこ…

まだ続く景観破壊・相国寺門前町のマンション

近くで「景観破壊反対」の看板を見つけたので現場を見に行ってきた。 写真は三井のモデルハウスの現地案内所を兼ねている事務所にべたっと張り出された看板。せっかく苦労して京都にあったプレハブを売っているのに、その目と鼻の先で、怪しからんという気持…

『季刊まちづくり30号』(3)

昨日に引き続いて、各地の事例を紹介しよう。 他とはだいぶ様子が違う西宮の事例にも考えさせられる点があります。 練馬区福祉のまちづくり推進条例〜下郡山啄さん 福祉のまちづくり条例は「季刊まちづくり」に初登場ではないかと思う。 そういえば環境関係…

『季刊まちづくり30号』(2)

昨日に引き続き季刊まちづくり30号の特集の紹介を続けよう。 狛江市のまちづくり条例〜黒崎晋司さん 僕にとっての注目は狛江市の「まちづくり条例における開発調整システム」(黒崎晋司さん)だ。 これは事前協議の申請から協定の締結までの間に、別途、地元…

『季刊まちづくり30号』(1)

3月1日発売の『季刊まちづくり30号』の特集は「地域主権時代のまちづくり条例」だ。 目次は下記の通り。 ●特集 目次 ○論考 市民の政府とまちづくり条例〜五十嵐敬喜 まちづくり条例の展開〜野口和雄 Q&A 地域主権時代の条例のあり方を問う〜Q編集部、A…

佐々木一成『地域ブランドと魅力あるまちづくり』いよいよ出版(2)

統合ブランドとしての京都 佐々木さんは本書の最後で統合ブランドを京都を例に論じている。 ここでは、その議論を紹介しよう。 京都という地域性 言うまでもなく京都は歴史と文化に恵まれ、山紫水明も随一だ。 伝統産業も根付いているが、同時に、それらを広…

佐々木一成『地域ブランドと魅力あるまちづくり』いよいよ出版(1)

本の狙い 地域ブランド本は数ある中で、まちづくりとの相乗効果に着目して書かれた初めての本だ。 その概要は草稿が上がった8月末に「特報・『地域ブランドと魅力あるまちづくり』」で紹介した。 そのポイントを繰り返せば、その地域がもつ地域資源(自然、…

山口誠『ニッポンの海外旅行〜若者と観光メディアの50年史』(3)

歩く旅の終焉〜スケルトンツアー 歩く旅が終焉を迎えたころ、航空券とホテルがセットになった数日の旅行が、信じられないような安い値段で提供されるようになる。 ソウル三日間1万円とか、グアム四日間1.5万円といったスケルトンツアーと呼ばれるものだ。 …

山口誠『ニッポンの海外旅行〜若者と観光メディアの50年史』(2)

冒険、探検から自分探しへ 『深夜特急』とバックパッカー第二世代 澤木耕太郎が香港からユーラシア大陸へ旅だったのは74年だった。 そのときの友人への手紙をもとに10年後に書かれたのが『深夜特急』だ。 山口によると澤木の実際の旅と、深夜特急に書かれた…

山口誠『ニッポンの海外旅行〜若者と観光メディアの50年史』(1)

面白い文化誌を読んだので紹介しよう。 著者はメディアや文化を研究している社会学者。73年生まれなので、まだ40前の方だ。 「はじめに」では「なぜ最近の若者は海外旅行に行かなくなったのか」という問題を取り上げている。その見出しだけを見ると、観光…

ロハスって何? ロハス発祥の地、ボルダーから

ロハスってなんだ 大和田順子さんといえば、ロハスの紹介者として名高い。現在もロハス・ビジネス・アライアンスの共同代表でもある。 僕はロハスをちゃんと勉強したことはなかったし、マスコミ報道から受ける印象は良くなかった。 だから、アグリ・コミュニ…

大和田順子『アグリ・コミュニティビジネス〜農山村力×交流力でつむぐ幸せな社会』(2)

アグリ・コミュニティビジネスから学ぶ日本の未来 この本から僕たちは何を学べば良いのだろうか。 もちろん、触発され開墾に向かう人がいても良いし、農林業を継ごうと考えていただいても良い。著者はまずはそういう人たちに読んで欲しいと「はじめに」に書…

大和田順子『アグリ・コミュニティビジネス〜農山村力×交流力でつむぐ幸せな社会』(1)

今、輝いている人々 昨年末に出版した関満博さんの『「農」と「食」のフロンティア』は、中山間地の人々自身が産業化と自立で輝いていることに注目した本だが、こちらは中山間地にIターン、Uターンした人たちの輝きに注目した本だ。 関さんがはじめて農産物…

蓑原敬編著『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』〜大方潤一郎「まちづくり条例による国際標準の計画制度」(3)

昨年、『撤退の農村計画』という本を出して、随分話題になったが、五十嵐敬喜さんが『季刊まちづくり30号』で書いているところによると、限界集落どころか、「日本の集落や地方都市の多くは、今後廃墟になっていく」のだそうだ。「そこに住む人たちが望む限…

自転車走行レーンの社会実験

自宅のそばで自転車走行レーンの社会実験をしているというので、見に行ってきた。 交通量の少ない4車線の道路の両端1車線ずつをつぶして自転車走行レーンにしていた。 右の写真のようにタクシー待ちのためのスペースをとっても、まだ走行レーンがとれるほ…

文部省旧館探訪

2月のある日、N先生との打ち合わせで文化庁のラウンジを使った。 その後、一箇所用事をすませ、教えてもらった旧大臣室を見に行った。 正式には文部科学省情報ひろばといって、旧大臣室を公開しているほか、文部省の歴史を展示している。 写真は旧大臣室。 …

関連資料

○2011.03.10連続セミナー第1回・大方潤一郎さん他 ○2010.09.06 蓑原敬さん京都セミナー(電子版まちづくり新書準備中) ○蓑原敬さんインタビュー(草稿時) ○蓑原敬さんインタビュー(出版時) ○佐藤滋さんインタビュー ○大方潤一郎さんインタビュー ○担当…

蓑原敬編著『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』〜大方潤一郎「まちづくり条例による国際標準の計画制度」(2)

日本の都市計画制度の課題と備えるべき要件 マクロの観点から〜集約型都市構造の形成 大方さんは現状を日本型スプロール現象と呼び、指弾している。 日本の都市計画制度は、ニュータウンなどの大規模なプロジェクトをのぞけば、開発側に計画的に街をつくるメ…

蓑原敬編著『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』〜大方潤一郎「まちづくり条例による国際標準の計画制度」(1)

さて、今日は大方さんの「まちづくり条例による国際標準の計画制度」を簡単に紹介しよう。 持続可能な都市空間 大方さんは前著『都市計画の挑戦』では「1章 都市計画、土地利用・建築規制はなぜ必要なのか」で、都市計画の必要性を次のように論じておられた…