『季刊まちづくり30号』(3)


 昨日に引き続いて、各地の事例を紹介しよう。
 他とはだいぶ様子が違う西宮の事例にも考えさせられる点があります。

練馬区福祉のまちづくり推進条例〜下郡山啄さん

 福祉のまちづくり条例は「季刊まちづくり」に初登場ではないかと思う。
 そういえば環境関係の条例も取り上げたことがない。
 特集で隣接分野を取り上げると売れ行きが目に見えて落ちてしまうので難しいのだが、「これからのまちづくりはソフト」だとか「総合化」だと言っていながら、せめて個々に取り上げる努力をしなかったのは、僕たちの怠慢だ。


 ところで、ここでも都条例との兼ね合いが問題になっているという。
 バリアフリー法では、規制強化は委任されているが、規制緩和は認められていない。ところが都の基準はごく比較的規模が大きい施設を念頭においているため、練馬区に多いごく小規模の施設には過酷な部分があるという。したがって上書きの是非が課題になってくると指摘しておられる。

(西宮)個別対応の規制誘導から総合的まちづくりの推進に向けて〜坂井信行さん


 西宮の報告の特徴は高度地区などの都市計画、景観計画、自主条例、要綱を総合的に紹介していることだ。ワンルームマンションや住宅開発抑制、商業立地ガイドライン、高容積地区での土地利用適正化など、重要な問題を要綱でやっているという。
 たとえば高容積地区(300%以上)では、延べ床面積が1000平米以上の場合、店舗スペースなどを入れないと、上限容積の8割しか使えないという。


 坂井さんは、今後の課題として、都市計画マスタープランや地区まちづくり計画等のツールとして各種の制度が体系化されること、そして、事前明示型の誘導ではなく、都市計画マスタープランに基づく協議調整型の柔軟な誘導方策に進化することを上げておられる。期待したい。


 以上、駆け足で掲載事例を紹介した。
 正確には本誌をお読みください。発売は3月1日。予約も受け付けています。

(おわり)


○予約ページ(2月末日まで)
http://www.gakugei-pub.jp/zassi/zigou/30yokoku.htm