ソーシャル・キッチン


 嫁さんが近所にコミュニティ・カフェが出来たというので行ってみた。
 嫁さんは「若いピチピチした女の子がやっていて、近所のおじいちゃんやおばあちゃんがたまっている」と雑誌で読んだという。それは良い、そのうちお世話になるに違いないと、行ってみることになった。

 写真が外見。
 なんとなく入りづらい。店のキッチンのなかに女性のスタッフが見えるが、おじいちゃんもおばあちゃんもいない。子どももいない。


 逡巡したあげく、ちょっとやめようか、美味しそうでないしと、さらに先に行ったスーパーの側の小綺麗なお店に行ってみたら閉まっていた。これは「行ってみよ」との天の声だろうと、再びソーシャル・キッチンに向かう。


 入ってみると、別に恐いところではなかった。
 でも嫁さんの話とはだいぶ違う。


 コミュニティ・カフェではなく、自宅や身近な空きスペースを定期的に開放し、展覧会、ワークショップ、レクチャー、飲み会を実施するミニ文化施設だと書いてある。4年間ほど週に1回のカフェhanareとして続いてきたそうだが、昨年常設のカフェとスペースをオープンしたとのことだった。
 1階はSocial Kitchen cafe&Book store。
 2階はSocial Kitchen space。
 3階はSOHO的なオフィスで5グループが入居している。


 で、2階ではどんなイベントをやっているかというと、
・Social Kitchen 「公民館を作る」プロジェクト vol.1
・レクチャー&ワークショップ:台所大学「畑を知る、畑を作る、畑を生きる」
トーク&ディスカッション:MACとhanareと保育所設立運動(仮)
京都会館再整備に関する意見交換会
・都市と貧困──『スラムの惑星』から考える
・台所大学 「勉強会:アートと社会運動の公共性」
だそうだ。


 「公民館を作る」プロジェクトはほかでもない、自分たちのスペース自身を公民館と位置づけ、「作品をばんばん売りさばくアーティストや、資金運用が達者な友人なしで、インディペンデントな場所を運営するためにはどうしたらいいのか?」をテーマとして話し合うのだそうだ。


 さてSocial Kitchen Cafeは、
・環境と体に優しい食材を使用。
・可能な限り京都、または京都近隣地域で生産された食材を使用。
・食材の取引は個人農家、個人商店との取引を優先。
・なるべくゴミが出ない仕組みを作っていく。

 を目指すということ。イベントの「畑を知る、畑を作る、畑を生きる」と精神をともにしているのだろう。


 結局、嫁さんはスープランチ、僕は北アフリカのサンドイッチとかいうピタパンを頼むことにした。
 スープは割りと美味しかったし、北アフリカのサンドイッチにつけるペーストは良かった。ピタパンは柔らかく何の小型という感じ。熱い方が美味しそうに思うのだが、それは正しい食べ方ではないのだろう。


(おわり)