長坂泰之『中心市街地・活性化のツボ』(4)

何から手を付けるのか

 郊外の問題もさることながら、中心市街地、とりわけ商店街が、行きたくてたまらない場所かというと、正直、そんな街がどれだけ残っているだろうか。不便だから中心市街地に行かないのではない、魅力がないから行かないのだ。


 長坂さんは商店街は、変化に対応せずにあぐらをかいていたこと、とりわけ地権者が商店街を維持する気概にかけ、1階は店にしなければといった意識もなかったと指摘している。


 正直言って、こういう意識のところを郊外規制で守る気はしない。反対に一票という感じだ。
 長坂さんは「まず私たちの意識を変えよう」「やるなら本気でやろう」と書いているが、優しすぎるぐらいだと思う。


 2日目に都市性が大店法廃止でなくなってしまうほど柔な物だったのか、と書いた。
 むしろ都市性を失い形骸化していた中心市街地が、最後のひと突きでガラガラと崩れ落ちていったというほうが近いように思う。


 だいいち、中心市街地や商店街活性化といったときに、それまでの商店や商人がそのまま元気になることを想定していないだろうか。残念ながら都市性はもっとシビアなものだ。新陳代謝なくして都市性なんか保てない。


 そのような発想である限り、既得権に安住していると言われても仕方がない。


 だが、もちろん、そんな商店街、中心市街地ばかりではない。
 この原稿でも「復活の七つのツボ」という視点から、各地の取り組みを紹介している。
 まさに意識を変え、本気で取り組んでいる街は決して少なくはない。

七つのツボ

 まだ、これから校正作業があるので、以下の内容は変わるかもしれないが、次の七つがツボだ。


 ・第一のツボ「リーダーシップとマネジメント」
 ・第二のツボ「明快な方向性と戦略を持つ」
 ・第三のツボ「地域の強みを徹底的に磨く」
 ・第四のツボ「まちのファンを育てる/まちの役者を育てる」
 ・第五のツボ「つながる/連携する/回遊する」
 ・第六のツボ「イメージアップと情報発信を意識する」
 ・第七のツボ「不動産所有者を巻き込む」


 さすがに25年前、まだまだ再開発への期待があった『生き残る街づくり』の時代とは意識が変わってきている。


 以下、この文脈のなかで取り上げられている三つ事例を紹介しよう。

続く

○参考資料
ノッティンガムの中心市街地
学芸チャンネルでの長坂さんのビデオと、その解説です。


横森豊雄・久場清弘・長坂泰之『失敗に学ぶ中心市街地活性化―英国のコンパクトなまちづくりと日本の先進事例