特報・『地域ブランドと魅力あるまちづくり』その1

いよいよ脱稿!


 『観光振興と魅力あるまちづくり』の佐々木一成さんにお願いしていた『地域ブランドと魅力あるまちづくり』が、脱稿した。

 お願いしたのは2年半ほど前。当時、すでにブームだったとはいえ、地域ブランド本は、関満博さんの本や、本当の専門書しかなかった。
 ところがお願いした直後から、『地域ブランドマネジメント』『事例で学ぶ!地域ブランドの成功法則』『地ブランド』などなど、地域ブランド本が出てきてしまった。



 そのうえ僕も『観光の地域ブランディング』(敷田麻実、内田純一、森重昌之編著)を、昨年出させていただいた。


 このように佐々木さんの止むを得ない事情で遅れているうちに本が増えたが、屋上屋を架すことにならないと思っている。


 もちろん『観光振興と魅力あるまちづくり』を読んでいただいた方は分かっていただけるだろうが、佐々木さんはテーマを幅広く捉え、全体像をさまざまな事例で示してくれると同時に、肝心なところは、自身で考え抜いてきっちりと書いてくださる。
 これは貴重だと思う。
 もちろん、今回の本も同様だ。


 そして、これが肝心なことなのだが、個々のブランド商品づくりについては、他の本で十分かもしれないが、まちづくり、地域づくりにおいてどう考えるべきかを、はっきりと描き出してくれている。
 敷田さんたちの本も地域づくり、まちづくりに焦点を当てた本だが、同時に観光に絞っている。本書はむしろ特産物ブランドと地域の文化・環境ブランド、そして地域資源の関係に焦点を当てている。

地域ブランドづくりとまちづくりの関係

 地域ブランドについて、僕の関心は、僕がいろいろと出させていただいた景観や歴史保全、住民主体といったさまざまな「まちづくり」が、産業振興としての「地域ブランド」と関係があるのかどうかだ。


 いくら景観が良くなっても、歴史を大切にしても、あるいは住民主体でまちづくりをやっても、メシの種になるのか、景観や文化ではメシは食えないという古くからの議論がある。


 時には景観づくりが観光振興に結びつくことはあるが、一部の観光関係者が潤うだけで地域にとっては迷惑だという話もある。
 一方、地域ブランドづくりに成功し、有名になっても、やはりその関係者だけが潤うだけだという話もある。


 僕がその地域の住民なら、そういう観光振興、地域ブランドづくりなら、勝手にやってくれ。多少の事は目をつぶるから、こっちまで来るな!というように思うだろう。


 ほんとうに、そんなあり方しかないのか?。
 明日、考えてみよう。

続く


○アマゾンリンク

・佐々木一成『観光振興と魅力あるまちづくり―地域ツーリズムの展望


・敷田麻実、内田純一、森重 昌之編著観光の地域ブランディング―交流によるまちづくりのしくみ