学芸セミナー「広域計画と地域の持続可能性」(2)

 昨日に引き続き戸田さんの報告を紹介しよう。

県境を越えた連携(戸田さんの報告)

 紹介された三遠南信地域は、愛知、静岡、長野にまたがる地域で、豊橋、浜松、飯田が代表的な都市だ。


 豊橋と浜松は隣同士だと知っていたが、飯田とも塩の道で結ばれており、今も飯田線が通っている。だから飯田は長野県より三遠南信地域に関心があり、市町村合併豊橋、浜松、飯田がじかに接するようになったこともあって、経済界や行政、それにNPO等の長年の連携の積み重ねを踏まえて「三遠南信地域連携ビジョン」がつくられ、動き出しているという。


 ところで、道州制の議論のなかでは三遠南信地域は長野から離れ、同じブロックになりたいと首長も全員参加した会議で決議したという。


 本筋に関係がない感想で申し訳ないが、たしか長野県は馬籠も中津川に越県合併をされてしまったし、将来、南信州にも去られてしまうと、踏んだり蹴ったりではないかという気もする。

 金持ち県、金持ちブロックに逃げ出したら、残ったところは大変だ。
 瀬田さんは上からの計画も格差是正のためには必要だと言われたが、こういう話になると、国の関与が必要だということになりはしないか。あるいは国の関与とは別の調整の論理はないものなのだろうか。


 地域間のお互いのメリットを求めての連携、軋轢の調整、格差の是正、これらはどういう土俵で議論すべきなのか、一緒にすべきなのか、別々にすべきなのか、それがすぐ地方分権の是非、中央集権の是非につながるのか、そういう議論の仕方でよいのか、気になった。

続く

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