堀米ゆず子ヴァイオリン・ワークスV
今日は堀米さんのヴァイオリン・ワークスVを近くのホールに聞きにいった。
「音楽の旅-叙情を求めて」〜ピアノの巨匠パスカル・ドヴァイヨンを迎えて〜というタイトルで、フランクの「ヴァイオリンソナタ イ短調」、細川俊夫「呪文〜ヴァイオリンのための(2010)世界初演」、そしてフォーレの「ロマンス 変ロ長調」「ヴァイオリンソナタ第一番イ長調」というプログラムだ。
日本にクラッシック音楽が広がらないのは入場料が高いからだというコンセプトのもと、協賛金を聴衆に還元しようというプロジェクトで、なんと900円で本物が聴ける。
だから超満員。演奏者のうしろにまで席を設けていた。
また聴衆も、家族連れや若い人も多く、ぐっと若返った感じだった。
確かに3000円とか4000円では、気軽にはゆけない。まして1万円なんて・・・。しかし、500人入っても45万円。厳しい。
ところで、だからという訳でもないだろうが、上記のように現代音楽がついている。
作曲家によれば「呪文(Spell)という題名は、その歌が私たち近代社会が失った超自然的なるものへの呼びかけであり、演奏者を通して、そうした見えない世界と交換したいという願いから付けられた。ここではヴァイオリン独奏者は、呪文を歌う巫女(シャーマン)的な存在として想定されている」のだそうだ。
ならば、もっと暗くして聞かして欲しかった。真っ暗な森の中で聞いたら、結構、いけそうだ。
また、連れは、こういう曲こそ「屍鬼」のテーマ音楽にふさわしいのではないかと言っていた。(ちなみに屍鬼は『十二国記』の作者・小野不由美のホラー小説。それがマンガになり、いまアニメ番組になっている。)
演奏は、フランクやフォーレ、アンコールのサンサースの、いかにもヴァイオリンという音と、なんだか和楽器のような味のある細川俊夫の曲、そして最後のカルメンでは、ヴァイオリンが悲鳴を上げているような、だけど不快感を感じる直前で踏みとどまっているような、緊張感バチバチの演奏と、幅広いものだった。
堀米さんのシリーズは今年で終わりで、来年からは児玉桃さんになって、しかも、ムラタホールにいってしまう。
残念。