播磨屋、コモンズの悲劇!?
感じのよいフリーカフェ
一昨年の秋に播磨屋京都支店がフリーカフェをはじめた。
それまでもおかきを買いにきたお客さんにコーヒーをサービスしていたらしいが、入りづらかったという。暗い店内の片隅で、店員さんに囲まれてあれこれサービスされるので、かえって居づらそうだったと連れ合いは言っている。
それがタダでおかきが食べられて、コーヒーやお茶が飲めるという。
半信半疑で行ってみると、嘘ではなかった。明るい店内で、ゆっくりできた。近くの学校の高校生が、授業をさぼったのか、セーターを肩にかけ流して本を読んでいたのが印象的だった。
本当のおかきの美味しさを知って欲しいという、さりげないメッセージも好感が持てた。
ホスピタリティの後退
その後、しばら通ったあと、たしか3ヶ月ぐらいたってからまた行くと、様子が変わっていた。
お茶のコップが陶器製から紙コップになっていた。
それから、また数カ月後、おかきの取り皿が陶製のお皿から、小さめのプラスティックになった。
そして、店内には横断幕が下がり、「政財官、各界のトップリーダーたちへ」とか、「自然を愛する心優しい女性たちへ」といったスローガンが書かれていた。最後には「天皇陛下には、この国の真実美しい究極的進路を、とっくの昔に上奏済みですから」とある。
お客さんも溢れていたが、心なしか、当初よりもおかきを買っていく人が少なくなっていたように思う。
播磨屋外観、内部から御所への眺めは良い
ホスピタリティの壊滅
そして最近、とんでもないことになっていると連れ合いに聞いて、再訪してみた。
なんとおかきの取り方にルールを定めたとかで、店内放送で「おかきは一種類1個まで」「最大六つまで」と流し続けている。(せこいことに6種類しかない。それなら最大六つまでは不要だろ!・・・)。
「人に不快感を与える人は退去してもらいます」とか「お客様同士の汚損事故が多発」といった張り紙もある。
横断幕には、「本当のエコは播磨屋ステーションのパンフにある」とまで、書かれている。
前からお替わりやお持ち帰りはご遠慮ください、だったのだが、今度は「そういう人を見つけた人はスタッフに教えてください」ときた。
コモンズの悲劇!?
経済学には「多数者が利用できる共有資源は乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまう(Wikipedia)」という法則があるという。これは市場では自身の利益を最大化しようとする輩しかいないという前提の話で、普通は、共有するコミュニティのルールがあって適正管理がなされると言われている。しかし、フリーカフェにはそれがなかった。
致命的なのは。おかきの宣伝なのか、おかきで釣っての布教なのかも定かでないこと。
なんだかヘンな会社だ。