『ウーマン・エコノミー 〜世界の消費は女性を支配する』


 宗田好史さんに薦められて『ウーマン・エコノミー 〜世界の消費は女性を支配する』を読んだ。というか途中までは読んだ。辛くなって、あとは読み飛ばした。
 世界の消費の64%は女性が支配しており、消費額は現在の2000兆円から数年後には2800挑円に拡大するというのが謳い文句。
 それはなるほど、凄そうだと読み始めたのだが、出てくるブランド名がさっぱり分からない。ガーバー、オプラ・ウィンフリー、ホールフーズ、テスコ・・・・。分かるのはユニクロとかWiiぐらい。どんなブランドか説明もあるのだが、ピンとこない。これはおじさんにはついていけないよ。たいして年は変わらないのに、宗田さんは偉い。


 少し安心したのは、女性は経済的、社会的成功の野望ももちつつも、親や夫を大切に思っているという調査結果。会社一筋だった日本の男より、はるかにバランスがとれている。


 気になるのは、数ある調査対象国のなかで、日本の女性が一番暗かったこと。一世帯あたりの消費額はアメリカやフランスより多く、図表に載っているなかではトップなのに、自身の財政状況の見通しは、ダントツの最下位。そのうえ他国ではそれほど心配されていない「健康」を最重視しているという。


 それは日本の女性の特色として書かれている「夢は職業よりも消費」と表裏一体なのかもしれない。根強く残る男女分業意識、その結果としてのキャリアを阻む障子の天井。だからか、夢の一日としてあげられるのは、「自分の好きなものを買う」とか「豪華な食事をする」こと。他国で紹介されている「家族と一緒に」「友達と一緒に」過ごすは少ないという。
 ただ、一番、幸せをもたらすものは家族と答えているので、人との繋がりに価値を置いていないわけではない。それがうまくいかないから夢は消費に止まり、1人になるのが不安だから健康が心配なのだろうか。
 ちょっと、寂しい話だった。



 ちなみに紹介してくれた宗田さんは、『中心市街地の想像力』『創造都市のための観光振興』で、まちを変えるのは女性の消費だと力説している。
 たとえば銀行等の撤退の後、寂れかけた京都の中心街に活気を取り戻したのは、美容室、エステ、そして京町家を利活用したレストランや物販だった。これらを支えたのは女性。
 都市計画は生活者の変化を捉えて、そのニーズ、望みに沿って街の変化を誘導していかなければいけないのに、現実の都市計画は相変わらずおじさんの夢をおっている。現実を見ろ!という主張だ。
 ビジネス書のようにご託宣を垂れているだけではない。数十年にわたりお店の変化をビルのなかのテナントも含めて調べた調査は凄い。それを出し惜しみすることなく掲載している。


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・マイケル・シルバースタイン、ケイト・セイヤー著, 石原 薫訳、森健太郎、津坂美樹『ウーマン・エコノミー―世界の消費は女性が支配する

・宗田好史『中心市街地の創造力

・宗田好史『創造都市のための観光振興