民主党マニフェストを読む1〜住宅政策

 民主党マニフェストを発表した。
 もともとマニフェストはおおざっぱなもので、具体的な話は書ききれない。そこで、昨年まではマニフェストの背景となる政策INDEXが公表されており、そこに、都市政策やまちづくりについての記述があった。だが、今年は出さないそうだ。
 新聞によればリベラル色が出るのを恐れたからとか。そんなことで政策を引っ込めたのだとしたら情けない。
 参考)産経新聞2010/04.09
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100409/stt1004090131004-n1.htm


 さて、そのマニフェストだが、どうも具体性がさらに乏しくなっている。
 たとえば昨年のマニフェストでは住宅が中項目として取り上げられ、次のように書かれていた。


44.環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する
【政策目的】
○住宅政策を転換して、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する。
【具体策】
○リフォームを最重点に位置づけ、バリアフリー改修、耐震補強改修、太陽光パネルや断熱材設置などの省エネルギー改修工事を支援する。
建築基準法などの関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する。
○正しく鑑定できる人(ホームインスペクター)の育成、施工現場記録の取引時の添付を推進する。
○多様な賃貸住宅を整備するため、家賃補助や所得控除などの支援制度を創設する。
○定期借家制度の普及を推進する。ノンリコース(不遡及)型ローンの普及を促進する。土地の価値のみでなされているリバースモーゲージ(住宅担保貸付)を利用しやすくする。
○木材住宅産業を「地域資源活用型産業」の柱とし、推進する。伝統工法を継承する技術者、健全な地場の建設・建築産業を育成する。


 昨年、初めてマニフェストを見たとき、建築基準法などの抜本見直しには驚いた。何をしているのかは良く分からず、後で知ったことでは姉歯対策の行き過ぎ是正が眼目だったらしい。これは今年はキレイに消えている。1月頃議論されていたという建築基本法も立ち消えで姉歯対策は運用で対処ということらしい。


 一方、今年のマニフェストでは住宅は農業や医療・介護とともに「新たな成長産業」として位置づけられ、「住宅のバリアフリー・耐震補強改修支援などにより潜在需要を掘り起こす」とされているが、具体策となると、「住宅ローン返済猶予を受け入れる銀行への支援」「住宅エコポイント」等が書かれているだけで、これからどうするのかは書かれていない。


 一方、去年は一言もなかった「まちづくり」が「むら・まちづくりと一体の多様な観光資源を活かした魅力ある観光地づくり」ということで一箇所出てくる。
 大社さんが言っている観光まちづくりプラットフォームも、この一環だろう。
 このテーマの本を出す身としては嬉しいが、それだけか、という面は否めない。


 地域主権という大きなビジョンのもとで、低炭素化や人口減少に対応し、どういう地域、どういう生活を実現していくのか。そのためにどういう政策を打っていくのか。
 政治主導を言うなら、せめて政策INDEXを復活し、具体的に語って欲しいものだ。

 参考)大社充・観光まちづくりプラットフォームの本を執筆中

続く