民主党マニフェストを読む2〜地域主権・都市再生

2009年版での地域主権

 さて肝心の地域主権はどうなったのだろうか。
 昨年は7つの大項目の四つ目に取り上げられていた。


4地域主権
 27.霞が関を解体・再編し、地域主権を確立する
 28.国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止する
 29.目的を失った自動車関連諸税の暫定税率は廃止する
 31.戸別所得補償制度で農山漁村を再生する
 32.食の安全・安心を確保する
 33.郵政事業を抜本的に見直す
 34.市民が公益を担う社会を実現する


 このうち27、28、34が特に関係が深い。

2010年版ではどうか

 たいして2010年版では10の大項目のうち9番目に書かれ、

  • 地方が自由に使える「一括交付金」の第一段階として、2011年度に公共事業をはじめとする投資への補助金を一括交付金化します。引き続き、さらなる一括交付金化を検討します。
  • 国直轄事業に対する地方の負担金廃止に向けて、引き続き取り組みます。
  • より質の高い住民サービスが確保できるよう、福祉事務所の設置や公園に関する基準などは、身近な自治体が決められるようにします。


 と簡素化されている。
 一番目の包括補助金化はもっと大胆に、迅速にすすむことを期待していた。
 三番目の項目は、それはそれで大事だろうが、おおざっぱなマニフェストの割りには、あまりに小さな話ではないか。

 たいして去年にあって今年は消えたのは「国の出先機関を原則廃止」「(補助金を廃止しても)義務教育・社会保障の必要額は確保する」といった文言だ。前者は地域主権政策大綱でうたわれるはずだったが、先送りになっている。(注)

都市再生

 一方、昨年は「雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化」がうたわれ、規制の適正化が目指されているという感じだったが、今回は規制改革として大きく取り上げられ、なんと「総合特区・都市政策」という項目で、「大都市圏戦略基本法」(仮称)が登場している。


 国土交通省の成長戦略会議では、住宅・都市分野については、建築家の大江匡さんとか、日建設計の安昌寿さん、モルガンスタンレー証券の高木敦さんなどが議論をリードしたらしい。その報告書の、大都市イノベーションの項目の課題として挙げられた都市再生特別措置法の期限切れへの対応がこれだろうか?。


 この報告では特区も大都市における容積率の緩和という文脈でしか出てこない。
 これがそのままマニフェストに持ち込まれたのだとしたら、これって、ひょっとして小泉改革の単なる継承ではないのか!?。

注)6月22日の朝日新聞によると、地域主権大綱が決まり、国の出先機関原則廃止が決まったそうだ。一括交付金については「地域が自己決定できる財源」との表現は削除されたという。記事は批判的だが、これが後退なのか、交付金であるかぎり当然なのかは、記事からはわからない。