全国の公立文化ホールが危機

全国の公立文化ホールが危ない


 6月2日の朝の、みのもんたさんの番組で、公立文化ホールが赤字、なかには休館のところもあると伝えていた。


 1987年に782だった公立の文化ホールが、いまでは1751もあるという。その大部分が、赤字。
 たとえば奈良県上牧町のペガサスホールは53億円もかけ1000席を誇るホールだが、あえなく休館。


 また南足柄市の文化会館も約40億円をかけた1000席のホールだが、赤字続きで休館が検討されたという。幸い、市民からの強い反対で存続の方向で検討されているというが、昨年1億3400万円あった事業費が、今年は7400万に削られるという。


 さらに岐阜県の未来会館は来年度いっぱいで閉鎖(休止)。ここは音楽会からファッションショー、能舞台など七変化可能なステージを備えた長良川ホール、ハイビジョンホール、レセプションホール、会議室、カフェ・レストラン、子育て支援施設まで備えた未来型の施設なのだが、いったい何をやっているんだか。
 番組では岐阜市内に、あと5箇所ほど公立のホールがあり、乱立ではないかと指摘されていた。


 近くでいえば5月1日でラ・フォル・ジュルネびわ湖「熱狂の日」音楽祭2010を紹介したびわ湖ホールも、昨年、運営費を1億円削るかどうかで、「オペラか福祉か」と野党・自民党が嘉田知事に詰め寄っていた。

中には黒字のところも

 一方、番組では京都府中丹文化会館を毎年黒字続きの成功例として取り上げていた。
 会館の人が、一度会館を利用した地元の人と顔見知りになり、義理と人情も総動員という涙ぐましいまでの営業努力でチケットを売っていた。
 館長の話だと、プロモータとの交渉も大事だが、なによりもお客様をいかに巻き込むか、が勝負だという。
 ちなみに、この会館のHPは、上記のどのホールのHPよりもダサイ。手づくりの感じはするが、それでもダサイ。
 だが、それでもちゃんとお客様を集めているのだから、たいしたものだ。

赤字でいけないわけではないが

 みのもんたの番組なので、文化ホールも赤字をだしてはいけないみたいな話になっていたが、もちろん、そんな馬鹿な話はない。儲かるなら、民間がやればすむことだ。赤字が許されないなら、自衛隊なんてどうやって儲けるんだ。(と思っていたら、アタリによれば新自由主義の時代、そのうち軍隊も民営化されるんだそうだ。確かにイラクでは民間会社の兵隊さんが戦っていた。う〜ん。なんか傭兵の時代に逆戻りだな。)


 それはともかく、だからといって野放図な運営が許される訳ではない。
 建設費はもちろん別会計、職員もひょっとしたら別会計、そのうえ事業費も見込み違いで大幅赤字では、叩かれても仕方がない。
 このあたり言いたいことはいっぱいあるが、ともあれ、大きな施設を作りすぎたのは大失敗だった。なんとか、区分けして小さく使う方法はないものだろうか。


また、空いているなら、1週間前から思いっきり安くして、練習場とか身内の発表会として利用してもらったらどうだろう。そうすればプロを目指す人たちがホールの響きに慣れることができるだろうし、一定時間無料で公開することを条件にすれば、市民はタダで楽しめる。
 ムラタホール(京都コンサートホールの小ホール)も使用率40%〜50%と苦戦しているが、たった一日だがミュージックフリーデイと言って演奏者を募集している。もっと大胆にやってほしい。

(写真は未来会館HPより)