『観光まちづくりプラットフォーム』

 6月18日にも少し触れたけど、『体験交流型ツーリズムの手法』の著者、大社さんが『観光まちづくりプラットフォーム』(仮題)を執筆中だ。
 詳細はインタビュー記録をお読み頂きたい。
http://www.gakugei-pub.jp/chosya/001ookoso/index.htm

着地型観光のノウハウがいっぱい詰まった前著


 大社さんは、グローバルキャンパスというNPOで、会員向けに、それぞれの地域ならではのプログラムを企画し、人びとを受け入れてもらう「着地型」の旅を、20年近くにわたって企画運営されてきた。
 最近、着地型観光に取り組み始めた地域が多いが、地域にはお客さんに愉しんでもらい、地域を好きになってもらうノウハウがない。そこで後を追う地域のために書かれたのが前著『体験交流型ツーリズムの手法』だ。
 さすが長年取り組んで来られただけあって、実際に取り組もうとしている方々から評価されて版を重ねている。

地域の組織作りが次の課題

 しかし、着地型ツーリズムを成功させるには、地域の光を愉しんでいただくノウハウとともに、地域側の体勢づくりが欠かせない。
 これが出来ていないと言う。
 地域の一個人が、一企業が取り組むだけでは、地域の価値を体験してもらうプログラムは出来ないし、仮に出来たとしても、続かない。
 ホテルや旅館等の個別最適でもなく、観光協会や旅館組合などの部分最適でもなく、全体最適を目指し、しかも行動できる組織が必要だ。
 それが観光まちづくりプラットフォームである。
 そこには、観光産業やまちづくりNPOはもちろん、一次産業の関係者や住民も参加する。いわば地域資源にかかわるすべての人びとが議論し、意思決定し、行動していく事業体だ。
 その役割は、プログラムの提供や誘客に止まらない。農産物のブランディングや地域そのもののブランディング、ひいては地域資源保全し磨いていく、エリア・マネージメントも担わなければならない。

国の施策の中心に

 実は大社さんは京大を出た後、松下政経塾に行っていた。
 そんな関係で前原国道交通省大臣とも親しかった。そのためか、国交省の成長戦略会議の委員になり、観光と地域づくりについて大いに主張してきたという。
 そのためだけではないだろうが、観光まちづくりプラットフォームが観光まちづくりの核として国の施策となっている。
 だから注目して損はないという感じだが、そうでなくても、こういった組織は必要だろう。
 刊行を、ご期待ください。

『エリアマネージメント』


 観光に先行してエリアマネージメントに取り組んでいる中心市街地については、小林重敬編著『エリアマネジメント―地区組織による計画と管理運営』がある。
 このテーマの定本なので、是非、参考にして下さい。