買い物難民

全国に600万人

 2010年5月9日の読売新聞に「買い物難民支援連携」という見出しで、経産省の研究会の報告書が紹介されていた。それによると、買い物に困る高齢者は600万人程度と推計され、過疎地域だけでなく大都市近郊の団地などでも深刻化しているという。


 紹介されている横浜市栄区の公田町団地では、スーパーが14年前に撤退し、その後にはいったコンビニも2007年に閉店。近くのスーパーには急坂があり、高齢者の足では20〜30分かかるという。団地住人の3割は高齢者で、買い物に支障がある。
 「膝が痛い」といった声に押され住民たちが青空市場をはじめ、今春には厚生労働省の補助も得てコンビニ跡地に常設の売り場が出来るという。

高齢者の心も支える買い物応援団

 数日後の朝ズバでもこの問題を取り上げていた。
 紹介されていた高岡市では、中心市街地にあった商店街はスーパーとの競争に破れて寂れ、次にスーパー間の競争でダイエーが破れ、残ったサティは郊外のイオンと同系列になったため閉店。残っているのは駅から2.5キロ離れたあたりにあるイオンやジャスコ、ヒラキストア大坪店だけになってしまったという。


 ここでも住民による買い物応援団が活躍している。
 読売新聞の昨年の記事(HP)によれば、「応援団」は、「ヒラキストア大坪店」内に事務所を置き、3年前から、周辺約4キロに住む会員に同店の商品などを配達しているという。

 感心するのは、「常連客からの注文が途絶えると、スタッフは電話をかけて安否確認をする」ということ。阪神淡路大震災のあと、復興住宅の高齢者支援のために生活援助員(LSA)という制度が設けられて派遣されていたし、シルバーハウジングにも同様の制度があるが、同じような仕事をボランティアでしているということだ。


京都でも熊野商店街や地元の京都女子大学東山区社会福祉協議会等と協力し、大学生が高齢者の買い物に付きそう「買い物応援隊」を発足させたという。ここは京都では珍しく坂がきつい町だ。(京都新聞(京リポート'10))

未来はあるか?

 このように頑張っている人たちは偉いが、持続できるのだろうか。
 いずれ頑張っている人たちも後期高齢者になっていく。
 中心市街地の場合、そうは言ってもまだ人が住み、働いているなら、成り立つ商売のやり方もあるかもしれない。できれば、志よりビジネスが成り立つ方が、お店の新陳代謝も進みやすく安心だ。


 だが、郊外はどうだろう。
 郊外に住む僕の親が、身体が弱ってきて自動車が運転しづらくなり、いままで通っていたスーパーにゆきづらくなったと言う。案の定、途中に坂があるからだ。
 引っ越しすれば良いようなものだが、病気の家族もいて、そうもゆかない。電動車いすを薦めても、あんなのはイヤという。
 困った。どん詰まりだ。