僕の本の紹介

コミュニティ・ビジネスとソーシャル・ビジネス(2)

ソーシャル・ビジネスと「三方良し」の企業倫理は一緒か? 昨日は社会性のあるビジネスがソーシャル・ビジネスだと言った。 だが『目に見えない資本主義』で紹介したように、日本型経営に「本業を通して社会に貢献しよう」「売り手良し、買い手良し、世間良…

コミュニティ・ビジネスとソーシャル・ビジネス(1)

コミュニティ・ビジネスとソーシャル・ビジネスの違い 8月4日に紹介した細内信孝著『『新版 コミュニティ・ビジネス』が20日に発売できる。 コミュニティ・ビジネスの定本の新版なので、是非、見て頂きたい。 ところで、最近はコミュニティ・ビジネスよ…

季刊まちづくり29号、いよいよ印刷(2)

都市計画の近未来 さて、広原さんは別のところで「(私の考え方は)従来のハコモノ中心の都市計画論、都市開発論とは全く違います。むしろ社会学に近いまちづくり論かも知れません。でも、これが本当の京都のまちづくり論なのです」(注1)と言われている。…

季刊まちづくり29号、いよいよ印刷(1)

季刊まちづくり29号も、いよいよ印刷だ。 校正段階だが、集まった原稿を読ませて頂いた。そのなかから巻頭対談を紹介したい。 広原盛明×西村幸夫対談 広原盛明さんって、誰? 最初に聞いたとき、う〜ん、いまさら広原さんかと言ってしまった。 だが、ますま…

蓑原敬さんのセミナーのまとめがやっとできた(2)

地区まちづくりの主体は、広域計画の主体は 次は深川光曜さん(京都市)と瀬田史彦さん(大阪市立大学)、酒本恭聖さん(川西市)の質問にうつった。 それぞれ話題は違うが、結局の所、地域主権の都市計画なんて本当にできるのか。地区の住民や、自治体、広…

蓑原敬さんのセミナーのまとめがやっとできた(1)

9月6日の蓑原さんのセミナー「都市計画の新たな挑戦」の記録草稿がようやくまとまった。 忙しかったとか、いろいろ言い訳はあるが、途中にあった食旅のセミナーのまとめは一日で終わったので、やっぱり難しかったということだ。(リムボンさんのセミナーの…

「成功する自転車まちづくり」オプショナルツアー(3)

京都ろじ裏散歩(続き) 今日も自転車ツアー体験記です。 祇園南 大石内蔵助が遊びまくったという一力のなかに、芸妓さんが入っていった。 昼間から出歩いているのは変身舞妓さんだと言う話だったが、一力では昼間に舞妓さん芸妓さんと楽しむランチなんてコ…

「成功する自転車まちづくり」オプショナルツアー(2)

京都ろじ裏散歩(続き) 昨日に引き続き、自転車ツアーの体験記です。 琵琶湖疎水 さらに北上し、丸太町通りの手前、冷泉通りから疎水沿いに入った。 第三代京都府知事の北垣國道の銅像が見える小公園で小休止。舟溜りと夷川発電所が美しい。 ここで琵琶湖疎…

「成功する自転車まちづくり」オプショナルツアー(1)

京都サイクリングツアープロジェクト 10月23日の古倉宗治さんのセミナー「成功する自転車まちづくり」のオプショナルツアーに参加した。 主催は京都サイクリングツアープロジェクト。定番コースの「京都ろじ裏散歩」をセミナー向けに少し短縮いただき、その…

林まゆみ「生物多様性とまちづくり」セミナー

生物多様性条約第10回締約国会議開幕 先日、生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋で開幕した。地球益と国益をめぐりシビアな交渉が始まった。 国内で開かれる大型の国際会議と言うこともあり、これまで各界で盛んな啓発活動が行われた。 僕たちも今年…

関満博さん『「農」と「食」のフロンティア〜中山間地域から元気を学ぶ』脱稿(2)

なぜ、人が輝くのか 関さんは産業の専門家だった。山間地域に通い詰めるようになる前は、各地の産業を尋ね歩いていた。 「特に90年代末の頃には、いずれの工業集積地域も疲弊していることに胸が痛んだ。モノづくりの「現場」の人びとは疲労感を深く漂わせて…

関満博さん『「農」と「食」のフロンティア〜中山間地域から元気を学ぶ』脱稿(1)

中山間地域に何を学ぶのか? 中山間地域にこそ、20世紀の成長型未来像にかえて選び取るべき未来の生き方が芽生えている、というのが本書のメッセージだ。 日本にはもう、ガンガン成長していくような未来はないし、望まれてもいない。しかし、それに変わる未…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ組み版(3)

昨日までに紹介した佐藤滋さんの論を僕なりに考えてみたい。 エネルギッシュ!、情熱が溢れる文章 以上、佐藤さんの主張をざっくり要約させていただいたが、エネルギッシュで情熱溢れる文書を伝えることはできない。また中味はじっくり全文を読んでいただき…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ組み版(2)

昨日に続いて佐藤滋さんの力作を紹介しよう。 4 地域協働社会を築く「まちづくり市民事業」 第4節では佐藤さんは次のように主張している。 まちづくりをこれから実際に動かしていくのは、まちづくり市民事業だ。 市民事業が「地域社会に立脚した市民と専門…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ組み版(1)

「地域協働時代の都市計画」 5月14日に紹介した蓑原敬編著『都市計画の新たな挑戦』の組み版が始まった。編集やレイアウトを担当するスタッフも決まり、いよいよ校正作りだ。 今日は、その中でも力作の一つ、佐藤滋さんの「地域協働時代の都市計画」を紹…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ脱稿(2)

これからの都市計画の望ましいあり方 昨日紹介した、六つの疑問を踏まえ、西村さんは次の都市計画のあるべき姿を素描されている。 (1)地域の魅力をつくり出す都市農村計画へ 最低限の基準という建築基準法のくびきを脱し、「都市と周辺農村の調和、地区環…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ脱稿(西村幸夫編1)

『都市計画の新たな挑戦』 5月14日に紹介した蓑原敬編著『都市計画の新たな挑戦』の西村幸夫さんの原稿が届いた。 これで原稿が揃った。いよいよ初校づくりだ。 この本の狙いについては編者の蓑原敬さんがインタビュー「『都市計画の新たな挑戦』を語る」…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(3)

引き続き『人口減少時代における土地利用計画』から幾つかの章を紹介しよう。 「四日市〜市民と行政が合意した計画による都市周辺部の土地利用調整」(浦山益郎、稲垣圭二) 四日市市は都市周辺部に1)大規模な開発許可済みの、しかしまだ開発が行われていな…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(2)

ここからは『人口減少時代における土地利用計画』から幾つかの章を紹介しよう。 「青森市からコンパクティティのこれまでとこれから」(海道清信) まず海道さんの青森のコンパクティの考察を紹介しよう。 ここでは、戦略を振り返りながら、推進派市長の敗因…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(1)

都市の縮退と都市計画 最近、この話題ばかり書いているような気がするが、人口が減少し、都市が縮退し、過疎地では集落の消滅が危惧されている今、従来の都市の成長を制御することに主眼をおいた都市計画が大きく変わらなければならないことは明らかだろう。…

平山洋介『不完全都市〜神戸・ニューヨーク・ベルリン』

山崎義人さんと嘉名光市さんが 季刊まちづくり26号の読書会で報告されている都市の放棄地については、平山洋介さんが『不完全都市―神戸・ニューヨーク・ベルリン(学芸出版社、2003)』で詳しく論じている。 ニューヨークの放棄住宅 この本によると、ニュー…

特別企画・分かち合いの都市計画(3)

『季刊まちづくり28号』で五十嵐さんたちが展開している総有論が、放棄地だらけになったような衰退地区では助け船にならないとしたら、どうすれば良いのだろうか。 山崎義人さんと嘉名光市さんによるアメリカの事例の紹介 季刊まちづくり26号の読書会では、…

特別企画・分かち合いの都市計画(2)

総有という考え方が都市計画関係の諸制度改革の鍵になるのかどうか、考えてみたい。 総有論では村八分になったときに困る 昨日、説明したように総有は単なる共有でも空間の公有でもない。「構成員でなければ利用権を取得できないし、資格を失えば利用権も喪…

特別企画・分かち合いの都市計画(1)

季刊まちづくり28号、いよいよ発売です。 アマゾンではすでに発売中。書店でも9月1日には店頭に並ぶと思います。よろしくお願い致します。 現代総有論と都市計画 28号の特別企画は神野直彦さんを迎え、五十嵐敬喜、野口和雄さんの座談会から始まり、五十嵐さ…

第4回季刊まちづくり26号読書会(3)〜都市農地

提案13.都市内に散在する農地を環境整備に活かせ 農地と宅地が混在する市街化区域をどうするか 柴田祐さんは兵庫県の太子町の市街化区域内に農地がたくさん残っている様子を示し、これをどうするのかと問題を提起された(p56、図1)。 本来、10年以内に市街…

第4回季刊まちづくり26号読書会(2)〜環境・生態系の視点

提案08.環境・生態系の視点を都市計画制度に位置づける 田中貴宏さんは広島大学で、建築環境や都市環境を専攻されている。 都市政策になにかを提案するというよりも、都市の物理的な環境を認識科学的に研究している。 したがって学問的な立場から、科学的知…

第4回季刊まちづくり26号読書会(1)〜都市計画区域

連続4回の季刊まちづくり26号の特集「地域づくりの視点から都市計画制度に提案する」をめぐるワークショップが終わった。 よくまあ、4回もやってくださったものだと感心する。 大げさに言えば、東京での討論会や今回のワークショップは、本や雑誌づくりの一…

『季刊まちづくり28号』発行間近(2)

景観法を生かした最近の取り組みから何を学ぶか 芦屋をはじめ、自治体の積極的な取り組みがはじまっている。 そのなかで一番残念なのは、事業者や設計者が明示的な基準を求め、「基準に合っていれば良いんでしょ」という姿勢に留まっていることだと小浦久子…

『季刊まちづくり28号』発行間近(1)

8月初旬ですが、八甫谷氏が制作・編集し、学芸が発売している『季刊まちづくり』9月1日号の校正を読みました。 もう印刷は終わり、9月1日には発売です。 ところで季刊まちづくり、来年の春で30号ですが、このままでは31号以降の継続が難しくなっていま…

高松平蔵さんのセミナー『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(2)

ドイツの政治と官僚事情 ドイツは政治家と官僚の役割が日本と随分違う。 小さな街でも、大臣に相当する政治家のポストがあり、たとえば文化大臣がいる。その役目は「まちの戦略として文化をどう扱うか」を示すことだ。 たいして官僚は専門家だという。たとえ…