中川真+編集部『これからのアートマネジメント〜ソーシャルシェアへの道』

アートでソーシャルシェアって何だろうと思って買ってみた。 中川真+編集部による序文では、現在のアートとアートマネジメントには、社会問題になりやすい場から、一見何事もない日常の場まで、ともにシェアする新しい公共空間(公共圏)をつくること、また…

「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk#3

久隆浩と「なる都市」の方々〜まちづくりで飯が喰える時代がくる!くる? 「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk#3が4月12日に行われた。 今回はおとなしめのイントロと、久さんの「都市・まちづくりは「お金と権力」から「共感・関与」の領域へ」…

「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk#2

「まち飯」の面々〜いま、都市をつくる仕事に、もの申す 「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk#2が4月5日に行われた。 山崎義人さんと谷亮治さんの絶妙なパフォーマンスで始まったCrosstalk。スタッフの岩切さんが報告するので、僕は思いつきを書…

3月のイベント

被災地復興のためのビジネスイノベーション(3.08京都) 被災地のためにビジネスベースでできることを探ろうというシンポジウム。AIDMAにかえてAINAS(Attention Interest Network Action Share)を提唱されている佐分利さんの基調講演のあと、yahooや深仲メ…

森巣博『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』

日本の現状を糞味噌にけなした本。 とりわけ大手マスコミの堕落にたいして厳しい。 「利潤の私益化、費用の社会化」が新自由主義思想のキモという断定は、スッキリしていて気持ちが良い。だが、読んでいて明るい気分にはなれない。もう、ほとんど絶望という…

黒野伸一『限界集落株式会社』

帯には逆転満塁ホームランの地域活性エンターテイメントとうたっている。実際、サクセス&ラブストリーで、まあ、堅いことを考えなければ、楽しめる本だ。 ビックリしたのは、次の場面。 就農研修にきた千秋が聞く。 「だけどこの村、いずれ本当に消滅しちゃ…

花街の建築と景観+舞妓さん遊び

新潟大学の岡崎さんに誘われて弘道館で行われた「花街の建築と景観」というセミナーに嫁さんと一緒に出かけた。お目当ては終わってからの舞妓さん遊び体験。二人とも一度も経験したことがないし、一生に一度ぐらいは体験したい、というのでいさんで出掛けた…

竹内昌義『原発と建築家』、内田雄造追悼文集『ゆっくりとラジカルに』

3.11から1年がたち、原発事故の強烈な印象もだんだん薄れてきた。 昔、黒澤明の映画※1を見て、きっとこうなるんだろうと恐れていた破局と比べると、ずっと影響が少なく、人が目の前でバタバタ死ぬという事態にはなっていない。ひょっとすると首都圏3000万人…

藤崎達也著『観光ガイド事業入門』

日本でもようやくエコツアーをはじめとしたガイド事業が育ってきている。 なかには、まちの誇りやアイデンティティを取り戻すことを目的とした、非収益事業として行われているものも多いが、中途半端な物もあるし、収益事業を目指しながらもうまく行っていな…

谷口浩司編著『マンション管理評価読本』

昔、家を探していた時、中古マンションも見に行った。 驚いたことに、平面図すらちゃんとしたものがないマンションが多かった。立地と築年数と見てくれだけが頼りで、構造すら分からない。これじゃ、よほど目利きでないと安心して買えないと、諦めた。 昨今…

森巣博『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』

日本の現状を糞味噌にけなした本。 とりわけ大手マスコミの堕落にたいして厳しい。 「利潤の私益化、費用の社会化」が新自由主義思想のキモという断定は、スッキリしていて気持ちが良い。だが、読んでいて明るい気分にはなれない。もう、ほとんど絶望という…

水野和夫・萱野稔人『超マクロ展望〜世界経済の真実』

藻谷浩介さんが人口減少を根拠に日本のデフレの不可避性を説いているとすれば、こちらは500年という長いスパンのなかで、世界全体のデフレ、成長の終焉を説いている本だ。 水野さんによると、70年頃から、資本主義は生産で稼ぐことができなくなり、金融資…

『都市・まちづくり学入門』『いま、都市をつくる仕事』クロストーク3

『いま、都市をつくる仕事』での議論 ところで、『いま、都市をつくる仕事』は1章が「都市へのアプローチ」と銘打って、新しい仕事の仕方をしている10人を紹介し、2章では「ひろがる仕事のかたち」と銘打って「企業系」「政治・行政系」「研究系」「NPO…

『都市・まちづくり学入門』『いま、都市をつくる仕事』クロストーク2

『都市・まちづくり学入門』での議論 では、どうするのか。 『都市・まちづくり学入門』では、枠組みの議論は深めている。 たとえば松村暢彦さんは「8章 まちづくりを担う市民」のなかで、似田貝さんの「都市政策と「公共性」をめぐる住民諸活動」という図…

『都市・まちづくり学入門』『いま、都市をつくる仕事』クロストーク 1

「都市をつくる仕事」の未来に迫る Crosstalk この二つの本は、都市計画学会関西支部の20周年事業のなかで書かれたものだ。だが、著者同士も知らないなかでもないのに、お互い何を考えているのか話すこともあまりなかったね、と柴田さんが山崎さんに話した…

滝川薫編集、村上敦、池田憲昭、田代かおる、近江まどか著『100%再生可能〜欧州のエネルギー自立地域』

この本は、福島原発事故の後、お付き合いのあった欧州在住の日本人ジャーナリストからスタッフの宮本にお話があり実現した。「「フクシマ」という重く深刻な運命的打撃を受け、それを背負って生きていかなければならない祖国に、新しい夢とビジョンを与えた…

『季刊まちづくり34号』

東京では違うのかもしれないが、関西では、復興が進んでいるのかどうかすら、さっぱり分からない。 その点、自画自賛になるが、『季刊まちづくり34号』は、震災1年目の現地の状況を「都市計画・まちづくり」という視点から多面的に紹介している。ああ、や…

鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義』

小泉さんが人気が高かったころ、知り合いのバイトの子が「改革大賛成!」「労働力の自由化、是非やるべき」というのを聞いて、とても奇異に感じたことがある。 言われていた労働力の流動化は、どう考えても労働市場で弱い立場にある彼らを圧迫するし、彼らを…

橋本健二『階級都市』

これまで東京は実に羨ましい街だと思っていた。 なぜなら、超高層が林立し、繁華街には人があふれているだけではなく、下北沢のような若者文化を肌で感じられる街もあるし、谷根千のような趣のある街もある。なんでも揃っていて、ずるいぞ、コラって感じだ。…

駒崎弘樹『「社会を変える」を仕事にする』

この本は良い。元気が出てくる本だ。 何と言っても、行き当たりばったりなところが良い。また聖人ぶらず若干露悪的に下ネタ大好きな自分をさらけ出すところも良い。 彼は病児保育という病気になったときに子供を預かる事業を立ち上げている。とういのも、子…

『何が日本の経済成長を止めたのか?』『小商いのすすめ』

『何が日本の経済成長を止めたのか?』というNIRAのレポートをちらっと見た。 それによると、成長が止まったのは、 1)日本が経済的にアメリカなどの先進国に追いつくようになってきた、 2)金融のグローバル化と変動相場制への移行は、輸出指向型成長の持…

星丹二『ピンピンコロリの法則〜お出かけ好きは長寿の秘訣』

健康長寿の秘訣を書いた本だが、まちづくりにも関係する話題があったので紹介しよう。 前提として健康長寿に医療が貢献する割合は1割程度というのが著者の主張だ。 収入も大切だが、世界的には一人当たり40万円以上になると大した差はなくなり、日本では1…

平川克美『小商いのすすめ』

『小商いのすすめ』という本だから、小商いのことが書いある、小商いを始めようというときに励ましになるかと期待して買ったのだが、当てが外れた。 それはともかく、興味深かったのは「人間とは(大きな問題に大勢で取り組むと)自分が意思することとは、必…

雪の京都

今日は久しぶりの雪。 水を汲みに行く途中、破れた靴から雪が入ってきて爪先が冷たかった。 でも、雪景色は綺麗。

グリーンズ編『ソーシャルデザイン〜社会をつくるグッドアイデア集』

去年だったか、どこかの大学の理工系学部にソーシャルデザイン学科かコースがあると聞いた時、「なんだそりゃ」と思ったものだ。それは「建築学分野、都市システム工学分野、エネルギー・環境工学分野」と分かれているという。苦労をしている大学人には悪い…

小嶋光信『日本一のローカル線をつくる 〜 たま駅長に学ぶ公共交通再生』

書かれていることは公共交通のことを勉強した人には周知のことも多いかもしれない。 だが著者の小嶋さんは和歌山電鐵をはじめ、多くの地方公共交通を再生してきた人だ。実践した来た人の言葉は重い。ひょっとしたら世の中よく出来るんじゃないかという気分に…

山崎亮、長谷川浩己編著『つくること つくらないこと〜町を面白くする11人の会話』

この本はランドスケープデザイン誌に2年間にわたり連載された「状況のつくり方」という連載をまとめたものだ。 「風景をデザインするとはどういうことなのだろうか」。ランドスケープデザイナーでありながら「デザインするも何も、風景は既にそこにあるじゃ…

三島邦弘『計画と無計画の間 〜 「自由が丘のほがらかな出版社」の話』

著者の三島さんが主催するミシマ社は、西村佳哲さんの『いま、地方で生きるということ』や、平川克美さんの『小商いのすすめ』を出している出版社だ。 その創業から数年間のドタバタを書いた本だが、いまどき、こんなにエネルギッシュで、明るくて、能天気な…

アイザック・アシモフ『銀河帝国の興亡』

半分都市計画に戻るってわけでもないが、計画の話を紹介しよう。 『銀河帝国の興亡』を、20年ぶりに読んだ。 これは究極の計画をテーマとした物語だ。 時は銀河歴1万年?。1千兆人もの人類を擁する銀河帝国が衰亡を迎えていた。このままでは宇宙は混乱と…

上橋菜穂子『月の森に、カミよ眠れ』

上橋菜穂子さんの『精霊の木』に続く作品。1991年に出版されている。 上橋さんを知ったのは会社の若いスタッフに「美少女剣士が好きだったら、ちょっと中年だけどバルサが良いよ」と教えてもらったのがきっかけだった。そして中年の女剣士バルサが活躍す…