観光のユニバーサルデザイン京都セミナー・報告1


 7月12日に観光の「ユニバーサルデザイン」京都セミナーが無事に終わった。
 20人きてくれるかどうか、と心配したが、天候不順にも拘わらず、50名以上の方に参加頂き、会場の京都景観・まちづくりセンターのワークショップルームが満杯になった。
 本当に有り難い。先生方と来場者の皆さんと、共催のまちセンにも感謝。


 正式の報告は学芸HPに出ているので、気まぐれ的に気になった話題を二、三、紹介しよう。
 なおアンケートやメールでいただいたご意見・ご感想は下記の記録に掲載している。あわせてご覧いただきたい。
http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1007aki/report.htm

ツーリズムの語源

 観光が「國の光を観る」から来ることは、多くの本で紹介されているが、ツーリズムの語源が、「轆轤(ろくろ)をまわす」から来ているとは知らなかった。
 秋山さんによると、そこからさらに、「巡回する、移動してさまざまな新しい物を見て回る」という意味に使われるようになったという。
 インターネットで調べると佐竹真一さんの「ツーリズムと観光の定義」という論文が出てきた。
 それによるとTourismの初出は19世紀初頭の1811年だが、その語源のtourは1320年で、もともと旋盤、回るもの、円を描く用具を示すラテン語tornusから来ているという。
 英語にはそのほか、Travel、Journey、Tripもある。ただTravelには苦労して働くの意味もあり、旅の苦労をにじませているし、Journeyはその日の仕事、働きという意味があり一日の旅が基本、Tripは短い旅の意味だという。これらはいずれも13世紀から17世紀にかけて使われ始め、Tourismよりも古い。
 では、当初tourが使われ始めたときの思いは何か。
 Travelなどとどういう区別をしたかったのか。佐竹さんによると、それは観光の大衆化であり娯楽化であったという。時は、産業革命のさなか。労働者が海浜リゾートなどに遊びにゆき、滞在することが一般化する。だから定住地以外の場所を訪れたり、滞在したりして、やがて定住地に戻るという行動にtourという言葉が与えられたのだそうだ。

交通基本法

 松原さんは最後に交通基本法の最新動向を紹介された。
 懇親会での話しも総合すると、政治の混乱にも拘わらず、着々と議論は進んでいるそうだ。
 そして移動に関する権利が明文化される可能性が高いという。


 これは是非、やってほしい。民主党は法案を一本も通せなくなるという話もあるが、そうであれば議員立法にして、通して欲しい。


 ただ交通に関する計画を誰が定め、マネージメントするのか、これが問題だ。
 社民党民主党案のときは都道府県となっていた。
 これは基礎自治体としないと身近な生活交通まで目が届かないだろう。


 しかし、京都のような大都市でも、基幹交通は大阪圏のなかで成り立っているし、京北町まで合併して広がったとは言え、隣の美山へのアクセスも必要だ。
 これらを、レベルごとに協議し、マネージメントしていくような広域連合を組み上げていくことができるのか。課題は多い。

続く

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秋山哲男、清水政司、伊澤岬、江守央、松原悟朗『観光のユニバーサルデザイン―歴史都市と世界遺産のバリアフリー