人数に拘るビジットジャパン

観光後進国ニッポンは海外に学べ!


 鈴木勝さんの『観光後進国ニッポンは海外に学べ!』を読んだ。
 面白かったのは「カニかに激安ツアー」をもっと外国人旅行者に紹介してはどうかという話。確かに、カニをたらふく食べて旅費込み1万円以下は安い。こういうものを愉しんでもらえば、日本の旅のもう一つの面も知ってもらえるだろう。


 また京都が富良野旭川と連携し、オーストラリア人を誘致しているも知らなかった。こういう遠い地域、異種の組合せが効果的とのことだ。成果も多少は上がっているという。

問題は人数を増やすことか?

 鈴木さんはJTBの出身だそうで、そのためかインバウンドとともに、アウトバウンドにも熱心だ。ツーウエイ・ツーリズムというらしいが、出かける人も、訪れる人も多いのが理想だという。


 ちょっと気になるのが人数ばかりを強調する点だ。
 海外旅行であれば、人数=航空機利用回数であり、人数=旅行代理店利用機会の増大だろう。特にインバウンドに日本の旅行業者がほとんど参入できていない現状からは、アウトバウンドも重要に違いない。
 だから1000万人、2000万人と数字を掲げていて良いのだろうか。


 海外旅行にいく人にとって、大切なのは回数とは限らない。週末の香港ツアーや、○○観戦弾丸ツアーに何回もゆくよりも、せめて1ヶ月はとってゆっくり見て回れる、食べて回れる方が幸せかもしれない。
 僕はエコノミークラスの窮屈な席に、長時間、じっとしているのは苦痛だ。あんな目をしてやっとたどりついたのに、数日を経ずしてまた帰ってくるのは、しんどい。
 観光庁JTBの人たちは、みんながあの窮屈さが好きだと思っているのだろうか。それとも、いつもファーストクラスに乗っているのだろうか?


 航空機のCO2は膨大で、当面改善の期待も持てない。電気自動車はできても電気飛行機はできそうにない。
 真面目にCO2、80%削減を言うなら、海外旅行は御法度という話もある。
 だから海外旅行を自粛しようというのは、寂しい話だが、そうならないためにも、人数や回数ではなく、滞在日数をもっと重要視すべきだ。そのほうが旅行の質もあがる。
 人数・回数を重視するのは、マスツーリズムの発想、しかも業界の発想だと思う。


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京都・国際音楽学生フェスティバル最終日

 今日はロシアと日本。
 ロシアから参加したトランペットの人は、巧かった。だけど、熊蜂の飛行はやっぱりピアノ版が良いと思う。トランペットでは音が残って切れ味がにぶい感じがする。
 日本からはピアノとチェロが参加。平井康三郎の幻想曲「さくら」はピアノで琴のような味を出していた。黛敏郎無伴奏チェロのためのBUNRAKU。チェロをまるで三味線や義太夫節のように響かせているのだそうだけど、ここまでやる必要があるのだろうか。ただ、そばにいた海外から来た学生は、思わずブラボーって反応だった。


 第三部はフィナーレ。400人程度の会場に、100人ぐらいのオケと合唱団が並ぶ。
 だから、いやでも迫力は出るが、バランスが難しいだろうと思う。気をつけないと、特に後半のオペレッタのアリアや二重唱では、ソロのソプラノとテノールが貧弱に聞こえてしまう。
 ウィーンから来た学生の指揮者は、そこのところを結構うまくこなしていた。
 それでも最初はイマイチだったが、ソプラノのチメラーさんもだんだん興にに乗ってきて、最後は盛り上がった。
 実に楽しい5日間だったが、終わってしまった。来年が待ち遠しい。