『提言! 仮設市街地』(2)


 僕たちは、最近、地域振興のためには、地域の自立と産業化が必要であり、そのためにも地域内経済循環が必要だと主張する本を出し続けてきた。『農と食のフロンティア』、『創造都市のための観光振興』『これで分かる 着地型観光』など、みんな基本は一緒だと僕は思っている。


 同様に、被災地の復興も自立と産業化が不可欠ではないか。
 そのためには、小さなビジネスでも再開できるような仕組みが必要だ。


 昨日も触れたが中越地震では仮設住宅団地のなかで、仮設住宅を使って理髪店を再開した例は、その意味で画期的だった。


 続いて紹介されている中越中越沖地震での弁当プロジェクトも感動的だ。
 それは、被災地の地元業者が連携して被災生活をおくる人々や復旧活動にあたる方々の食事を提供した事業だ。


 地元の23の業者が参加し数千食単位の弁当を届けたという。
 儲けは少なくとも、適切な利益を確保し、給与を支払えれば、お金が二重に生きる事になる。お弁当の費用として生き、作った人達の給与となって、その多くが地域内で使われればお金が二度、三度と回るからだ。これを地域外から購入してしまうと、お金は外に出ていってしまって、おそらく二度と戻ってこない。


 散髪だって同じ事だ。仮設の散髪屋さんに仮設の人達がいき、仮設の食堂にその散髪屋さんが稼いだお金でたべにゆき、食堂の人が仮設の飲み屋にいき、飲み屋の息子が仮設の文具店にいけば、お金は仮設の中でぐるぐる回る。


 地域振興や活性化の話をするとき、こういった視点があまりにも欠けていたのではないか。


 もちろん、大規模な工場などがあったのであれば、その復興も重要だ。しかし、余剰生産能力に困っていた業界が、被災した工場に大金を投じて復活させるかどうか、分からない。


 だから、一方では、地域の資源を活かした地域の人達による地域の人達のためのビジネスは、小さくても大切だと思う。


(おわり)


○アマゾンリンク
 仮設市街地研究会『提言!仮設市街地―大地震に備えて


○復旧・復興関係者のための無料ダウンロードサイト
http://www.gakugei-pub.jp/higasi/index.htm