京町家証券化プロジェクト終了


 京町家証券化特定目的会社から監査報告書が届き、2010年8月に特定目的会社が無事、解散したこと、残余財産の分配を行うので、その承認のための臨時社員総会を開くと知らせてきた。


 京町家の証券化とは、京町家の保全のための資金を証券化により集めようという話で、2003年に国土交通省から京都の関係者に持ちかけられたものだ。
 不動産の証券化は、ワンルームマンションから大規模オフィスビルまで、投資目的の資金を集める手法として、当時、ようやく注目され始めていた。金儲けのためだけの手段では勿体ない、町家保全という社会的な目的に使えないかと考えたようだ。


 だか、もともと単体で、あるいは複数で数百億の規模のプロジェクトの資金集めのための仕組みだから、やたら複雑で、書類作りだけでも大変な手間がかかる。どうも無理なんじゃないかとなったのだが、証券化の実務を担う不動産会社の人も、金融機関も、出資者も、ビジネスというよりも寄付のような気分で取り組み、たった1億円規模の事業を立ち上げた。
 そして3軒の町家が修復され、フレンチレストラン、居酒屋、服飾販売に転用された。


 そして今年、無事に解散した。
 ほんとにご苦労様でした。
 また経験を生かして信託事業が立ち上げられたという。今後に期待したい。


○参考資料
・京町家の証券化(フラットエージェンシー)
http://www.pref.nara.jp/secure/18335/090628siryou2.pdf


・京町家証券化事業報告書(2007)
http://www.miyako-h.co.jp/houkokusyo.pdf


京都新聞「町家減少を食い止めたい」
 管理信託で再生、関係者ら調印
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20100727000203