高島市新旭町針江まち歩き(1)


 京都府建築士会青年部が針江生水の郷の見学会をやっていたので、連れと一緒に遊びに行った。
 針江は写真家・今森光彦さんがによる映像詩、NHKハイビジョンスペシャル『里山・命めぐる水辺』の舞台になった美しい景色と生命の輝きに満ちた村だ。徹底したガイドツアー・システムでも著名なところなので是非、行ってみたかった。

JR新旭から針江に向かう



  


 途中にあった公民館のお達し。新旭町社会福祉協議会簡素化委員会が、冠婚葬祭の簡素化を命じている。「法事の膳には折り詰めを付けない」などと書かれてある。
 写真にはないが、下の看板には霜降り地区簡素化委員会が「葬列の際の役付きの人々へのタバコの配布は禁止」などと掲示している。これも細かい。ところで、葬列の際の役付きの人ってなんだ?。


 そうこうしているうちに針江の集合場所に到着。
 さっそく、野菜の無人販売所で枝豆を買う。ギッシリ詰まっていて150円。
 絶対お得だ。

針江生水の郷と川端

針江に集合



 


 想像していたより大きめの水路だ。
 水路に降りる階段も整備してある。右側の写真は枝豆を買ったお家の裏側にあたる。
 なお、巡ってみると、この水路はメインという感じで、他の水路はもっと細かった。

案内所



 


 これは案内所。Oさんがなにやら相談している。
 近づくと左の写真のような説明書きが貼ってある。


 「見学者のみなさんへ」とあり、「見学は地元ガイドと一緒に見学カードをつけて行うこと、ガイドを伴っていない方には目的をお尋ねしたり、場合によっては区外に退去をお願いすることもあります」とある。
 なかなか厳しい。


 「いつでもOKなのですか」と尋ねてみると、基本的には予約が必要とのこと。日に三回、ツアーが出ているとのことだった。川端・街並みコース、里山湖畔コースが、それぞれ一人1000円とのこと。

ステンレス製の水車



 


 集合場所の公民館のそばに作られていた水車。
 左の写真をみてほしい。底が浅い。水がほとんど流れていない。なのに水車は立派に回っている。
 ガイドの大石さんによると、普通の木の水車ではとても動かないので、村のなかの鉄工所のおじさんがステンレスで作ってくれたのだそうだ。しかも木を貼って、いかにもそれらしくしたある。凝っている。

ミョウガを洗っていた



 


 少し歩いていくと、おばさんがミョウガを洗っていた。
 写真には写っていないが、真ん中の丸い部分の中央に竹筒が刺してあって、そこから水がわき出ている。丸い囲いの一部に穴が空けてあって、そこから水が流れ出ていくようになっている。


 右の写真は針江生水の郷委員会が管理しているお家。
 一人1泊3000円で20人ぐらいまで泊まれるそうだ。
 自炊もできるし、ガス、電気も来ている。ただしお布団は別に借りないといけないらしい。
 生水の郷の雰囲気を味わいながら、家族や趣味の会の人たちが泊まっていくのだそうだ。

焼き杉が一番



 


 焼き杉が貼られたお家。このあたりの気候・風土に一番あっているということで今でも使われている。ただし高いので新建材にしてしまうお家もあるという。


 右の写真はよしの加工所。小学校の先生がよし笛などをつくっておられるそうだ。

川端(かばた)の基本



 


 いずれも川端の基本形がよくわかる。
 針江生水の水は比良山系に降った雪、雨が伏流水となり自噴する清らかな水。ミネラル分を含み飲料や炊事に使われている。
 地下約10〜20mから自噴してきた水は、まず壷池に貯められる。お家の人はそこで野菜を冷やしたり洗ったりする。
 溢れた水は次に端池に貯められる。ここにはコイやフナが飼われている。その魚たちが洗い物に残っている米粒などを食べてくれるので置いたおくだけで綺麗になるという。
 ただ、自分が洗い物をした水が次のお家の川端に混じることもあるので、できるだけ綺麗にして流す。逆に人びとは上流からの水も、信頼しきっているのだそう。



針江生水の郷HPより(http://www.geocities.jp/syouzu2007/kabatafureim.html


おさかな旭でゴリの佃煮を買う



 


 写真はお魚屋さんの前につくられた川端。お魚が泳いでいる様子が良く分かる。


 その向こうにお店があって、鮎やゴリの佃煮を売っている。
 連れは買いに走ったのだが1万円札を出したらお釣りがないと言われたり、なんだかんだとしているうちに鮎が売り切れ、ゴリ3パックで1000円を買ってくる。満足そうだ。


 ここは工務店とお魚屋さんが同居している。
 ガイドの大石さんの説明によると、工務店をやっていた人が息子に譲って好きな漁に出るようになったのだそうだ。最初は卸していたのだが、卸している値段と、売られている値段の差に愕然として、それなら自分でつくって売ってやろうじゃないかと始めたお店だそうだ。


 だから、普通よりも随分安いという。
 確かに帰りに駅前の特産品コーナーによったが、同じゴリの佃煮が、少し小さいくせに1パック600円で売っていた。


 加工所は直売所の数倍儲かるという話を実践されているわけだ。

続く