『転換するグリーンツーリズム』の青木さんの講演会〜その1〜


 7月12日に学芸出版社が自ら仕掛ける著者講演会の第一回、青木さんの講演会があった。
 おかげさまで盛会。
 遠方よりお起しいただいた皆様に感謝します!。
 さて、お話しのなかで、印象深かったエピソードを僕なりにまとめ直して紹介しよう。

都市と農村の葛藤

 1970年代、青木さんは有機農業に出合ったそうだ。そして、そこに光を見た。
 だが、その後、都市と農村の関係を考えさせられる二つの出来事があったという。


 一つは農薬の空中散布。
 有機農業が試みられている田畑のそばで、農薬が空中散布された。
 無農薬のお米に散布された薬がかかってしまうと、お米を買い有機農業を支援していた都会の人たちが、散布を行なった人たちに激しく抗議した。


 しかし、当時、有機農業を試みていたのは、ほんの一握りの人たちであり、地区の大部分の人たちは関心がなかった。そこからは楽に農薬を散布できる空中散布になんの疑問も出ようがない。だから、都会の人が目を釣り上げて抗議すればするほど、有機農業を試みていた人たちが地区から孤立してしまったという。


 もう一つはリンゴ事件。
 無農薬のリンゴを試みたが、最初の年は失敗してしまった。あまり出来が良くない。これを見た都会の支援者たちは「これは商品じゃない」と言った。農家の人は、「一度失敗したら見捨てるのか、来年再挑戦したい。そのためにも是非、今年は我慢して買って欲しい」と切々と訴えたが、買ってもらえなかったという。


 青木さんは、そこに有機農業をも貫く都市と農村の支配構造、消費者が「上」という構造を痛感し、研究分野をよりトータルなところに移されていったそうだ。


 話を聞いていると、なんて消費者だ!、これだから都会者はと思ってしまうが、自身を振り返るとこれは重たい。


 そういえば野菜を売りに来ている中本さんも、今年は天候不順で白いトウモロコシがうまく受精しなかったと言っていた。だから2本で100円。でも確かに美味しくなかった。それでも来週も喜んで買えるかというと、ノンだ。まして例年通りの値段で、と言われると冗談じゃないと思ってしまうだろう。
 僕は、相当、消費社会に毒されているのだろうか。


続く

○公式記録
セミナーレポート

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青木辰司著『転換するグリーン・ツーリズム―広域連携と自立をめざして