ライモンダと三角帽子
28日、びわ湖ホールでボリショイバレエ団の「ライモンダ」を見てきた。
ライモンダを踊ったアレクサンドロワは遠目にはちょっといかついおばさんに見えたが、オペラグラスでみると、さすがに優雅だ。上半身だけを見ていると、人間とは思えないような不思議な感じだ。
群舞に、ちょっと乱れがあったが、ソロは綺麗に決まっていた。
またサラセンの王子がいい。踊りもいいし、なんといっても豪勢な贈り物(各地の踊り)を次々と繰り出す姿勢には感心する。なのに王女の冷たいこと。ストーリーとしては納得がいかないし、事実、王女の心が揺れ動くという演出もあるそうだが、まあ、古典的なバージョンだから仕方がない。
サラセンの王子がやっつけられた後の結婚式のパ・クラシックが有名だそうだが、僕はこの各地の踊りのほうが楽しめた。
ただ、全体的には、ちょっと物足りない。
一つには音楽が単調というか、これといって印象に残る物がないということがある。
ライモンダは1898年のサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演されたそうだが、僕の感覚では、チャイコ以前という感じがする。どうも単調で、バレエのための音楽でしかない。だから曲が、単独で演奏されることは、ほとんどない。
次の日、京都ジュニアオーケストラを聞きにいったら、たまたま三角帽子をやっていた。
これはロシアバレエ団がファリャに依頼して作ってももらった作品で、ライモンダのわずか20年後の作品だが、こちらは組曲にもなっていて、ジュニアオーケストラは抜粋して演奏していた。
ロシアバレエ団と言えば、ストラヴィンスキーの「火の鳥」「春の祭典」「夜鳴き鶯」「ペトルーシュカ」「結婚」などの傑作で知られているが、どういうわけか、ロシアのバレエ界では嫌われていたらしい。
なんでもマリインスキー劇場等のシーズンオフに、座員らがセルゲイ・ディアギレフに率いられ、パリで公演したのが始まりだそうだから、売れない連中の小遣い稼ぎ、あるいは、いけない連中の鬱憤晴らしと見られていたのだろうか。また革命後、団員のほとんどがロシア国外へ亡命したため、ソビエトでは無視されたという。
最近は、そういった拘りは薄くなったのか、マイリンスキーが大々的に取り上げた公演をNHKが放送していた。ボリショイでもペトリューシュカはレパートリーに入っているようだけど、もっといろいろやって欲しい。