塩見直紀『半農半X』

 『いま、地方で生きるということ』と比べると、硬派のメッセージを発してるのが『半農半X』だろう。


 必ずしも「農」じゃなくても良いじゃないか、「半サラリーマン半芸術家」でも一緒じゃないかという向きもあるが、これはやはり「農」であることに意味がある。
 一日の半分、あるいは4割ほどの時間で、生きるための食糧を確保すること。そうすることで、世の中がどうなったって生きていけるという基盤が作れるからだ。


 そしてまた、Xに対する思い入れも強い。それはXを「天与の才」「使命」と言うほど。
 そのXを活かし、心からやりたいことをして、社会に役立ちながら、それを換金化して生活収入とすることが理想だという。


 この本に登場する人たちも実に生き生きと輝いている。
 こんな生活をしてみたいと、思わせる筆力もある。


 ただ、自分に「天与の才」があるのかどうか、ましてそれが換金化できるのかどうか、考えることはつらい人も多いのでは。
 そこまでしなければ、「天の意に沿う持続可能な小さな暮らし」は出来ないのだろうか。ほかの方法も読んでみたい。

(おわり)


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半農半Xという生き方