反原発×映画

 先日、同志社の寒梅館に「王様のスピーチ」を見に行ったら、「反原発×映画」というチラシが置いてあった。大阪の九条にあるシネ・ヌーヴォというところで7月末に上映するそうだ。


 まず『人魚伝説』。
 「原子力発電所の誘致に揺れる漁村を舞台に、推進派に夫を殺された海女がたった一人で復讐に立ち上がり、原発推進派を皆殺しにするヴァイオレンス活劇」とある。ネットで調べると、宮下順子もでているけど、白都真理さんの体を張った演技がすごいらしい。
 監督は池田敏春、「天使のはらわた 赤い淫画」の人だ。これは、反原発を刺身のつまに、好きな映画をつくっているって感じ。



 そして『原子力戦争』。
 「原発の町へ、疾走した情婦を探しにやってきたヤクザが、知らず知らずのうちに土地ぐるみの原発事故をめぐる汚職に巻き込まれ、命を狙われる。黒木和雄監督が田原総一郎のノンフィクション・ノベルを原作に、原発問題に挑んだ問題作」とある。


 田原総一郎と言えば、福島で原子炉底割れが心配されていた3月24日、「朝から生テレビ」で原子炉本体は無事だったと大声で主張していたので、バリバリの推進派だと思っていたら、昔はこういうノンフィクションを書いていたようだ。


 この小説、今は絶版だけど、6月になって電子書籍で復刊された。
 そのあとがきで「福島原発の事故は起るべくして起ったのか!? 著者にはすでに30年前にその予感があった。原子力船「むつ」の放射線漏れを背景に、国と企業の巨大利権が複雑に絡み合う構造を徹底取材に基づいて鋭く就いた迫真のドキュメント小説!いま読んでもまったく新鮮さが失われていないから不思議だ。原子力に対する電力会社の姿勢、国のスタンス、それらすべてが、21世紀の現在にいたってもまったく変わっていないのがよくわかる」と書いている。


 これって何だ?
 3月24日の彼の発言は別の田原さん!?。


 話を戻すと、映画は監督が黒木和雄、主演は原田芳雄。なんと山口小夜子風吹ジュンも出ている。とくに山口小夜子は日本では珍しい世界のトップモデルと言われた人。「上海異人娼館 チャイナ・ドール」にも出ていた。一度、見てみたい。


 そして「生きているうちが花なのよ、死んだらそれまでよ党宣言」
 「旅回りのストリッパー、バーバラは、原発を転々と渡り歩く原発ジプシーの宮里とは腐れ縁の仲。彼女はそろそろ二人で堅気の仕事について結婚したがっていたが、そこに事件が起こる。原発作業中に廃液漏れで被爆し、事故隠しのために命を狙われる安次が逃げ込んできて・・・」。


 監督は森崎東が、ヒロイン女優は倍賞美津子、そのほか、原田芳雄平田満泉谷しげる原発ジプシーの安次役で出ている。音楽は宇崎竜童。
 解説は「社会の底辺に生きる人たちを徹底的に愛する森崎監督の反原発映画、原発は人を殺す」と続くが、Wikipedeiaには喜劇映画とある。ユーチューブでごく一部を見た限りではとても喜劇には見えない。解説のほうがあたっているみたいだ。


 前の二つはいずれもATG系。これはキノシタ映画だが配給はアートシアターギルド。やっぱり、こういう映画にATGは欠かせなかったということだろう。「ミツバチの羽音と地球の回転」とはまた違ったノリが昔はあったようだ。 そのほか「一年の九日」(ソ連、1961)というラインナップ。
 7月30日には四作品一挙の反原発ナイトもあるそうだが、さすがに大阪まで見に行く元気はない。


(おわり)