緊急インタビュー(3) 3.11の意味


 どうも書きにくいので、書き方を変えてみる。
 インタビューのなかで3.11の意味を考えさせてくれるのは、以下の三つだと思う。


 まず高見澤邦郎さんの「3.11の意味」。題名もそのものズバリだが、3.11で何もかも変わったといった論調に異議を唱えたものだ。


 「「以前は無駄が多かった、我われが悪かった」という話には確かにそんな部分もあったでしょうが、だからと言って人や社会は突然態度を改めて、突然変われるというものじゃないでしょう。歴史も人間の営みにも連続性があるという気がします。突然ある日何かが大きく変わるわけもなくて、それまでの悪いことも良いことも引きずりながら変えていかないといけない」。


 「何を求めていくかについて、もはやモデルはない」「だから、すぐ総懺悔して、あっさりとアメリカ文明を受け入れた敗戦後とは事情が違うと考えています」。


 次は柳沢厚さんの「まだ、考えられる状態ではない」。
 これは偶然出会った柳沢さんに4月8日にインタビューしたものだ。先の高見澤邦郎さんが下書きまで準備されていたのに対して、突然だったので、ある意味、頭の中をそのまま覗かせていただいたような感じがした。


 ここで強調されているのは「今回の震災について現地に何か意義のあることを言えるかと言うと、ほとんど思考停止状態と言わざるを得ない」「今は役に立つときが来るまでじっと見ているしかない」という悶々とせざるを得ない現実だ。


 そしてまた「この事態で日本が今までやってきたことを全てリセットしようじゃないかという議論があるけど、単純にそんなこと言えないだろう」。そして「100%ここなら安全という抜本的な答を求めると、かなり無理な答にしかならない」。
 いずれも、被害のあまりの大きさに冷静さを失いがちなときに、実に的確な指摘だと思う。


 最後は江川直樹さんの「一つに決めてしまわないほうが良い」。
 これも、4月2日に何の前触れもなく捕まえて、その場で応えてもらったものだ。


 「「元の町に戻らなければ」という発想が被災者を苦しめる…こう言ったら怒られるかなあ…?」というのは、なかなか言えないことだと思う。


 「少なくとも選択肢はいっぱいあった方がいい。一つのことに決めてしまわない方がいい」。「いずれにしても、急ぎすぎたらろくな事にはならないと思うよね。一方で早く暖かい生活、水やお風呂のある生活に戻してあげたいでしょ」。


 ほんとに、そうなんだよなあ〜。
 難しいことを考える前に、早く暖かい生活、水やお風呂のある生活に戻してあげたい。そこから先は、それこそゆっくり、自分たちで考えてもらえば良いと僕は思う。(※)。


 しかし、インタビューからもう2ヶ月、被災から3ヶ月たったが、進んだのは政治の自壊だけ。復旧すらままならない。

(続く)


※:10日の京都新聞越澤明さんが「復興よりも、まずは暮らしを元に戻す復旧がが原則」と書かれているが、そこまではみんなで応援してなんとか実現したいということです。