緊急インタビュー(2) 復興と時間
インタビューでは、多くの話題が出てきたが、一番気になったのは、時間の考え方だ。
僕は少しでも早く復旧を終え、復興に取りかかり、1年か2年で見通しが立ってほしいものだと思う。
ところが、幾人もの人が10年はかかる、いや、大あわてでやって悔いを残すよりも10年は掛けるべきだと言われた。
たとえば石東直子さんは「今まで通りの復興住宅、復興のまちづくりなら、10年もかけずにできるとは思いますよ。でも私は10年ぐらいかけて欲しいと思っています」と言われる。敷田麻美さんも「急ぎすぎは禁物」「短時間で復興しようとすると、みんなハード対策しか思い浮かばないのです。時間を稼ぎながら、ハードではない方にもバランスよく財源が行くようにすることがポイント」だと言われる。
もう少し分かりやすく言ってくれたのが小浦久子さんだ。
「本当に地域のためを思うんだったら、まずは地域のことを勉強して欲しい」「その地域では、人びとがどんな住まいをつくってきたのか、どのように住んで働いてどんな暮らしをしていたか、どんな歴史があり、どんな風景の中でお祭りが行われていたか。それらを知る」のが大事だと言われる。
だが、「町の歴史を十分知ってから復興を手がけようとすると、その動きは随分ゆっくりしたものになってしまう可能性があ」る。それでは今、家がない人が耐えられないから、工夫が要るのだと言われるのだが、丁寧にやれば、やっぱり時間はかかるだろう。
だから石東さんがいうように仮設住宅を、快適な住空間にして、みんなに見守られて最後を全うすることもできるぐらいにしていくことで、かかってしまう時間を凌ぐことも大切になる。
だが、それにしても10年かと思う。
あの大戦争のあと、「もはや戦後ではない」と『経済白書』がうたったのは1956年。敗戦から11年目だ。いくら今回の震災が広範囲で激甚だとしても、あの戦争の被害と比べようもない。もっとスピーディにいかないものだろうか。
あまり単純で一面的な議論をしてはならない問題なので、次も違った角度からこの問題を考えてみたい。
○緊急インタビュー[震災・原発事故とまちづくり]
http://www.gakugei-pub.jp/higasi/index.htm