緊急インタビュー「震災・原発事故とまちづくり」(1)


 震災が起こった日、何かできないかを社内で話す中で、『提言・仮設市街地』という本を被災地に贈ろうかという案が出た。しかし、送るったって手段がない。また被災地はまだ仮設住宅云々という状態ではなさそうだ。
 むしろ支援に入ろうという人たちのほうが、こういう本を必要としているのではないか。また阪神・淡路大震災をめぐる本も読み返せば教訓を学び取ることもできるだろう。
 じゃあ、どうしようというなかで浮かんだのが関連書籍のPDF化とWEBでの無料公開だった。


 何とはなしに流れができ、その日のうちにメールでボスの了解もとれ、次の日から著者に連絡し始めた。週末ということもあって、スムースに連絡が取れない人も多かったが、取れた人はとても好意的で、難関と思われた都市計画学会編の本も、小林重敬先生や岸井隆幸学会長の英断で実現できた。
 http://www.gakugei-pub.jp/higasi/index_f.htm


 ほぼ1週間で公開作業は終わったのだが、その後も本来の仕事に手がつかない。
 そんなおりに、大方潤一郎先生から次のメールが届いた。

 「その後、あわただしい20日間が過ぎてしまいましたが、おかげさまで私自身と身近な人々は無事です。(中略)。復旧・復興にあたって、従来の土建系の学会・業界の対応は(阪神淡路の時の経験を活かして)迅速なものがありますが、今回は、農林水産系の人達や、高齢者福祉系の人達の力も結集しないと復興がままならないように思えます。
 生活・生業の再建(再生?転換?)の方法論、コミュニティ(市街地)の縮小やリロケーションの方法論、単身高齢者の住み替えの方法論、などなどが大きな課題かと思っています。
 ネットや紙メディアを駆使した学芸出版の「つなぐ力」に期待するところ大です」。

 ああ、そうか、そういう仕事があるんだ。
 土建系だけではなく、なるべく広くインタビューをして並べてみようと思いたったのが始まりだった。

 こちもほとんどの方がとても好意的に応じて下さり、40名近いインタビューが取れた。
 http://www.gakugei-pub.jp/higasi/index_i.htm


 次回から、その内容を紹介しながら、少し考えてみたい。

(続く)