関満博さん『「農」と「食」のフロンティア〜中山間地域から元気を学ぶ』出版(2)

集落営農

 今日は、いままで余り紹介しなかった集落営農について書いてみよう。
 集落営農とは「農業をはじめ地域が直面している諸問題を解決し、人びとが張り合いをもって働き、いきいきと暮らし続けることができるようにするため、地域や集落で相談し、話し合い、 知恵を出し合って取り組む共同活動」(p140)だと楠本雅弘さんの研究を引きながら関さんは定義している。


 そして集落営農農業法人化が農業生産過程に限定されず、人びとが生き生きと暮らしていくための地域産業化につながっていくことを期待しているという。


 たとえば江別市の株式会社輝楽里では何が起こったか?


 輝楽里は2006年に7戸、16人でスタートした。7戸の農家の110ヘクタールと新たに借りた30ヘクタール、あわせて140ヘクタールで、キャベツ、トウモロコシ、オクラ、イチゴ、米、麦など20種を生産している。


 輝楽里は法人化にあたって余分な機械を処分し身軽になった。そして販売先はいったん農協を通すものの、70%はスーパー等との契約栽培による自主販売、10%は直売所で、余ったものを農協等の系統販売に回している。


 江別の農家は600戸ちかくあるが、スーパーに直接入れているところは3戸しかない。
 生産農家が「どこに売られているのか、いくらで売られているのか、分からない」という農協を軸とする系統流通に風穴をあけ、札幌に近接しているという利点を生かし、大市場に多種多様な生産物を直接投入しているというわけだ。


 法人化後、売上げは1億7千万から2億7千万まで増えたという。


(続く)


○輝楽里HP
http://www.kira-ri.jp/index.html


○関連情報
関満博セミナー(2011.01.19、京都)
http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1101seki/index.htm


関満博氏インタビュー
http://www.gakugei-pub.jp/chosya/008seki/index.htm


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関満博著『「農」と「食」のフロンティア―中山間地域から元気を学ぶ