関満博さん『「農」と「食」のフロンティア〜中山間地域から元気を学ぶ』出版(3)

集落営農で女性たちが自立していく


 さらに、僕にとっては意外だったのだが、集落営農は女性たちに大きな影響を与えたという点だ。
 一般に農家の女性は、家事、育児、農業、そして年老いた両親のすべてをになっていて、とても忙しい。だが、法人化することにより、特に農作業の部分に余裕が生まれてきた。例えば関さん自身、「江別で2007年春から中小企業の若い経営者、後継者を集めた私塾を開いているのだが、2年目から輝楽里の農家女性が二人参加してきた」という。「彼女たちが、「ようやく、このような場に出られるようになった」と述懐していたのが印象的だった」。



 
輝楽里HP http://www.kira-ri.jp/index.html より


 女性たちはさっそく加工に取り組み、2009年春には「愛菜工房きらりんこ」を自分たちで建設した。味噌、漬け物などの生産に入り、農産物直売所などに出荷を始めたという。「将来は農村レストランをやりたいと夢を膨らませている」。


 さらに輝楽里は次の課題として若者の育成を念頭に置いて取り組みだしている。「指導者の石田清美氏は、「今年四人の若者を入れた。後継者は息子たちに限らない。次の時代の社長は〈能力〉いかんによる」と宣言している」という。


 いまだに血族による継承に拘る中小零細企業が多い中で、「継がせる」ことの意味も、ここでは変わってきているのだろう。

(おわり)



○関連情報
関満博セミナー(2011.01.19、京都)
http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1101seki/index.htm


関満博氏インタビュー
http://www.gakugei-pub.jp/chosya/008seki/index.htm


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関満博著『「農」と「食」のフロンティア―中山間地域から元気を学ぶ