スケルトン定借にようやく新方式が

 スケルトン定借普及センターからニュースレターが届いた。
 このスケルトン定借は、別名つくば方式とも言い、定期借地権に譲渡特約をつけ、くわえて建物はスケルトンインフィル住宅とするというややこしい方式なのだが、実は僕の家はこの方式だ。


 実は『スケルトン定借の理論と実践―完全解説つくば方式マンション』という本を2000年に出版したのだが、本を出した以上は実践しようと京都でのつくば方式のコーポラティブマンションに参加した。


 参加してまもなく、こりゃ間違ったな、と思った。
 まず、契約がややこしすぎる。そのうえ、どうも地主さんにコーディネータが振り回される。


 そもそも、バブル期に構想され、まだバブル再来への期待もあった頃に始まった方式なので、地主さんに土地をどうやって提供してもらうかに力点があったのは、仕方がない面もあったと思う。


 当時、こんなことなら普通の定期借地に、建物が良好なら「取り壊し義務免除(譲渡)」をつければ良いじゃないかと思った。


 複雑な事情があって、募集当初の条件を改定する際に、そういう話し合いももったのだが、さすがにコーディネーターはプロで、なんだかユーザーだけが義務強化されたような感じで終わってしまった。
 でもまあ、60年も先のことだし、そういう長期の話は誰が損する得するよりも、原理原則に則って百年以上もつ建物をきちんと管理するということで手を打ったわけだ。


 ニュースレターを見て、そんなことを思い出したのは、ようやく一般の定期借地権に取り壊し免除や譲渡をつけた方式が開発されたとあったからだ。


 さすがに、30数年後に譲渡特約の行使・不行使を曖昧なまま残すのは、はややこしすぎると思ったのだろう。だいち入居者の建物維持への投資意欲をそぎかねない。
 もう地主さんに一方的に気を遣う時代でもなくなったということもあるだろう。


 というわけで、スケルトン定借方式だが、これで少しは普及が進むだろうか。
 区分所有と比べたら、立つ鳥あとを濁さずという仕組みは良いと思うのだが。


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