遅咲きのヒマワリ(3) 地域おこし協力隊

 第三話はちょっと感動的。
 東京の大学を体よく放り出されて田舎の市民病院でふてくされていた二階堂かほりは、患者さんに適量の倍の処方をしてしまった。案の定、患者さんは容態が急変。ベテランの看護士から、「なにやっってんだ」なんて言われ、陰では「東京に帰るつもりなんだろうけど、中途半端で一番迷惑」と言われてしまい、落ち込む。
 台風の日、そんな彼女に急患の往診が依頼された。大雨のなか出掛けた二階堂は土砂崩れに阻まれ、車を捨ててどろんこになりながら山道を這い上がり、患者さんのところにたどり着くと、患者さんが苦しそうに、倒れていた。
 その帰り、沈下橋が水に浸かって帰れなくなったいた小平丈太郎と出会い、祭りの準備小屋に二人で戻った二階堂は、能天気な丈太郎が羨ましくて仕方がない。なのに「なりたい物になれ、やりたいことが出来るようになって羨ましい」と言われ、「なりたい物になれたわけじゃない。研究ばかりやっていたから、医者としては研修医みたいなもの。医者ですなんてとても言えない」と暗い顔で答える。
 だが、翌日、台風のなか往診した患者さんをみにゆくと「ほんとうに先生がいてくれてよかった。二階堂先生、ありがとう」と拝むようにして言われ、思わず涙を流してしまった。
 人に必要とされるってことは、ほんとうに良い。

 一方、丈太郎は祭りをやってみたいという子ども達の声を聞き、祭りの復活を呼びかけていた。最初は冷たかった住民も、「子どもの夢をかなえてやれんで、どうする」という大河内さんの言葉に説得され、協力的になり、二階堂さんも寄付してくれて、最後には目出度く祭りが復活し、丈太郎は森下彩花にご褒美のキスをしてもらった。
 森下さんは何を考えているんだろうなあ〜。

 それに、二階堂さんは良い役者さんだ。とはいえ台風のなか、土砂崩れを押して患者さんのところに駆けつけたのは自然な流れだけ江戸、また嵐の中を車に戻るなんて、なんぼなんでも無理筋じゃないだろうかと、どうでも良いことが気になってしまった。
 また数十年前なら、東京の大学を追われた女医さんが、職を失って東京からやってきた天真爛漫、脳天気な男の子に苛つきながらも引かれるという設定は、昔ならありえなかったと思う。そこに異和感を感じないのは、まわりにそんな人が増えているからだろうか。


 ところで『僕ら地域おこし協力隊』には高知の中山間地で活躍している人たちも登場する。バックフォーを操る林業女子とか逞しい。写真がなかなか届かなくてやきもきさせられるが、もうすぐ完成だ。あとは取材が送れている対馬の原稿待ち。

(おわり)

○僕ら地域おこし協力隊
http://www.gakugei-pub.jp/gakugeiclub/chiikiokosi/index.htm