宗田好史『イタリアの村はなぜ美しく元気かなのか』その1



 宗田好史さんの新作『イタリアの村はなぜ美しく元気かなのか〜市民のスロー志向に応えて農村の選択』ができた。


 宗田さんはイタリアの専門家で、いままで『イタリアのにぎわいまちづくり』など、イタリアの旧市街地の保存から都市政策・観光政策について語ってこられた。こんどは舞台を農村に移し、イタリア流地域再生術を読み解いている。

 イタリアの村は美しい。これは最近イタリアに行かれた人なら誰もが納得することだろう。また食が豊かなことも間違いない。
 だが、イタリアの村は昔から美しく元気だったわけではない。とりわけ農村は貧しかった。高度経済成長期には著しい人口流出を経験している。
 その流れを逆転したのが市民のスロー志向に応えた農村の決断だった。
 その流れを宗田さんは四つの動きと三つの変化で語っている。

なぜ出したかったか

 よく「経済効率一辺倒の」といった議論があるが、そういった論法は経済をとても狭く捉えて相手の土俵にのってしまうことにならないか、と常々思っていた。
 確かに量の時代であれば、ガンガンつくることが、イコール経済効率だったのだろう。だが、今は量を作っても売れない。
 この本で紹介しているイタリアの一部の農村は、人々のスローやオーガニック志向を捉え、量ではなく質を追求することで、地域経済と社会の立て直しの手がかりをつかんでいる。その際、美しい景観が美味しい食べ物を生み引き立てている。
 このような観光や農業の振興ため地域が主体性をもって、地域のために政策を総合化し、役立てているところが凄い。
 イタリアの真似をしたら日本の農村観光や有機農業がうまくいくと言いたいわけではない。うまくいっていることには、それなりの訳があることを知って欲しい。

 明日には出版記念セミナーも開く。残席があるので、お近くの方は是非、おいでください。

(続く)


○出版記念セミナー 8月8日、京都
http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1208mune/index.htm

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なぜイタリアの村は美しく元気なのか: 市民のスロー志向に応えた農村の選択