宮廷ミュージカル『宮』

 宮廷ミュージカル『宮』を南座で見てきた。


 ワイフ曰く、韓国が国を挙げて後押ししているミュージカルなんだそうだ。だから初演は国立中央博物館劇場「龍」。日本の初公演も大劇場ではなく、京都の南座を選んだということだった。


 キャストは皇太子のイ・シン役にキム・キュジョン、その敵役の従兄弟イ・ユル役にチャン・ユジュン、そして宮廷に招かれたシンデレラ、おてんばな女子高生にして皇太子妃にクァク・ソンヨン。
 といっても知らない人たちばかりだが、アイドルとミュージカルスターの混成部隊らしい。


 それにしても、人類の半分に限られるとはいえ、幅広いファンがいるんだなあ、と感心した。
 劇場内は、10代から70代までの女性ばかり。男は30人に一人いるか、50人に一人かというぐらい少ない。まるで女性専用車両に紛れ込んでしまったような感じだ。ワイフが一緒だったからまだ良かったが、一人だったら・・・・。
 実際、ワイフの隣が男性の一人客だったのだが、いたたまれなくなったのか、詰まらなかったからか、途中で帰ってしまった。


 そのうえ、ファンは韓国語が出来るらしい。
 終演後のトークショーでは、韓国語の挨拶への反応が良くて、通訳の人が訳すのを待たずに司会者が次の質問に移ろうとしてしまったことが二回もあった。


 というわけで、今日は、ホンモノの韓流を見られた。
 で、楽しめたかと言うと、まあ、まあ、楽しめた。


 クァク・ソンヨンは溌剌としていて、演技も細かかったように思う。
 キム・キュジョンが歌っているときに、バックで宴会をやっているシーンがあるのだが、ほんとに楽しそうに、美味しそうに食べていた。


 狂言回し役の内官は実にうまくて、観客をわかせていた。


 惜しむらくは、もう少し物語の盛り上げ方が丁寧だったらと思う。
 あらすじはもう知っているお客さんばかりというわけか、見せ場、見せ場が続くのだけど、その繋がりがイマイチ分からず、主人公達の心代わりが唐突な感じがした。

(おわり)