緊急インタビュー(6)復興まちづくりプラットフォーム

 コミュニティ支援員に加えて、インタビューや5月20日のシンポジウムで「是非、ほしい」と言われたのが「復興プラットフォーム」だ。

 ただプラットフォームといっても色々ある。
 一つには、そこにいけば被災地のいろいろな情報が手に入るとか、逆に、必要な専門家の情報が手に入るという感じの「情報の場」が必要だろう。
 これについては、加藤孝明さんら都市計画家協会の若手が準備中の情報ポータルサイトに期待したい。


 阪神淡路の時と比べると、情報技術はやたら進んだようにも見えるが、使いこなせるかどうかは人間次第だし、情報を集め、整理するには膨大な作業が要る。それだけに地味な情報ボランティアが大量に必要になるだろう。


 また、阪神大震災のときの「阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク」のような、地元のコンサルタントや研究者が緩やかにつながっている組織もほしい。ただ、現実には東北には素地が少ないということなので、まちづくりの進展のなかでつながって行くしかないのだろう。さらには神戸の「まちづくり協議会連絡会」のような住民の方々の連携組織も必要だろう。
 これら人的ネットワークについては、北原さんや饗庭さんが頑張っているという噂だ。
 また仙台や岩手、福島の大学関係者にも期待したい。


 一方、各自治体レベル、あるいは復興まちづくりの単位ごとに、復興まちづくり事業を担う人たちが集う場としてのプラットフォームも構想されている。

 これは必ずしも一つのイメージにまとまっているわけではないのだが、典型的なのは佐藤滋さんが広域協働復興組織として示されたもので、「地域の中でまちづくりセンターのような組織が一つずつ立ち上がってくると、そこをベースに大学や建築士会とか家協会とか、NPOが支援活動できるような組織」というところだろうか。


 北原さんはプラットフォームについて、地域で福祉活動をしている人たち、あるいはお医者さんのグループとも繋がれるような、都市計画の人間だけじゃなく、文系も含めて役割分担できる仕組みが必要だと言われていた。


 また大社さんは昨年から全国で取り組みが始まっていた「観光まちづくりプラットフォーム」を援用し、「復興まちづくりプラットフォーム」をつくろうと提唱されている。
 前者は地域の観光まちづくりや地域振興に関わる関係者が一堂に会し、その地域ならではの取り組みを進めようというものだ。遠野ではこの観光まちづくりプラットフォームの準備にあたっていた関係者が、震災後すぐに「まごころネット」という組織を立ち上げ、救援活動を行っていたという。
 今後、復旧・復興にあたっては、こういった組織が、地域の魅力を発信し、また地域のファン(支援者・サポーター)を増やしていくことが大切だとされている。


 この場合、プラットフォームとは言っても、「場」ではなく、「事業主体」に近くなる。あるいは一体となる必要がありそうだ。


 これに近い議論として、大西隆さんが「実際の復興の担い手となる人、あるいは外部からの助っ人になる人がひとつの会社に入って、そこで復興の計画を作って実施する。この仕事を5年間集中してやることが必要なんではないか」と復興まちづくり会社を提案されている。


 同様に高見沢実さんは「時限的に「再生公社」という新たな組織を作って、そこにある程度任せてみるのはどうか。〜中略〜阪神の復興事業の時のように人を募って、何年か専念してもらう。役所がボランティアでやるのもいいんですが、中央の人材と地方の人材をブレンドした組織、かつ公と民がブレンドされた組織が長期に復興計画に携われるようにする」のはどうかと提案されていた。


 大社さんの提案が民間主導、官は協力という感じなのに対して、こちらはいずれも官民複合のまちづくり会社といっても良いだろう。
 そういうところで復興事業を担っていく。それが地元の当面の雇用の場ともなる。


 細内さんは「直ぐには職を得られない人も多いでしょうから、国がCB(コミュニティビジネス)会社などに資本提供をする必要が出てくるでしょう」と言われているが、おそらく国が直接というよりも、地元の復興主体がそれを差配する方が良いだろう。だから復興まちづくり会社、社会的起業を促し、社会的企業を支えていくことも使命とすべきだと思う。


(続く)