管内閣と朝日新聞の復興構想

 朝日新聞(2011.4.1)によると、管首相が復興のイメージとして『世界で一つのモデルになるような新たな街づくりをめざしたい」と強調。被災地の首長らの意見を踏まえ、「山を削って高台に住むところを置き、海岸沿いの水産業(会社)、漁港まで通勤する」「植物やバイオマスを使った地域暖房を完備したエコタウンをつくり、福祉都市としての性格も持たせる」などと構想を説明。漁業を中心とする1次産業再生を掲げた』そうだ。


 山を削るなんて簡単に言ってくれるな!、と思う。
 その記事に添えられていたポンチ絵が、これ。
 朝日が書いたのだろうが、いったい何なんだろう。
 分かりやすさを優先しているのだろうが、これじゃ、できの悪いニュータウンだ。


 そのうえ「耕論 3.11再起」と銘打たれたオピニオンのページの羽生春久さんの絵がひどい。
 三つの主張が載っているが、その一つが梅澤高明さんの「東北に未来都市をつくろう」だ。


 その主張は、海岸から離れた危険度の低い土地に免震・耐震構造の高層ビル群を建て、そこに行政機関や商業施設、医療、住居などを入れるというもの。周辺には広大な土地ができるので、ここに田畑をつくり都市から通うのだそうだ。



 この梅澤さんの主張をがイラスト化したのかな?と言う絵が、これ。
 超高層ビル群が大地から切り離されて空中を浮遊している。
 これが「東北の未来都市」、これから東北の人びとが夢見るべき未来なのだろうか。


 津波地震から切り離され、空中に浮遊する安全・安心の人工島!?。


 天空の城ラピュタのパクリのようにも見えるこの絵、ひょっとして梅澤さんの主張に対する羽生さんの皮肉だろうか。ラピュタはロボットたちが守る死の島。最終破壊兵器だった。


 菅さんの復興イメージも、この提案も、自然の力と人間の力の限界をまざまざと見せつけられた後なのに、能天気というか、技術力過信に過ぎないか。


 また集落移転は一つの有力な災害対策だと聞く。なかには高層ビルを建てて、そこから漁港に通うといった選択をされるところもあるかもしれない。復興ビジョンを一日も早くという人もいるが、伸び盛りの時代ならともかく、従来の思考の延長上で単純に考えてよいものだろうか?。たとえば漁業を再生できるのか、どういう漁業を再生するのか?によっても大きく変わってくるだろう。


 ちなみに梅澤さんはこれを、中心部に都市機能と集合住宅を集約したコンパクトシティと称しているが、こんなバベルの塔のような都市をコンパクトシティと言っているのは、ごく少数なので、誤解しないで欲しい。

(おわり)