富岡鉄斎展

 虎屋で富岡鉄斎展をやっていたので覗いてみた。
 いくつか立派な絵が飾ってあったが、金箔屏風にグレーが基調の日本画というセンスにはついていけないが、面白かったのは嘉祥菓子図。虎屋のお菓子のカタログのようなものだが、説明パネルに展示されている絵の写真と一緒に、えらくリアルな絵が乗っている。なんだこれは?と聞いてみると、カタログのお菓子を写真にとったものとのこと。「そこにあります」というので振り返ると、嘉祥菓子7ヶ盛の実物が飾ってある。「よく製法が残っていたね」と言うと、「残っていたもなにも100年前から同じものを作り続けていますから」と自慢げな答え。
 なんでも昔は今のように上品ではなく、3倍ぐらいの大きさだったそうだ。「宮中からいただくご注文は、今でもその大きさで作っています」とのこと。
 隣には嘉祥饅頭3個入りもおいてある。実に立派な箱入り。
 「この箱で蒸して売っていたんですか?」
 「そうなんですけど、今は工場で蒸してから持ってくるので、お店に着く頃にはさめてしまっていますので、お持ち帰りの場合は、もう一度、ご自宅で蒸し直されているかと思います」。
 「エッ、売っているんですか」
 「ただ冬期限定ですので、今はちょっと」
 「こんな立派な箱で?」
 「そうですが、この箱はお高いので、紙の箱のものもご用意していますよ。皆さん、そちらをお買いあげになりますよ」
 どちみち買えないけれど、惜しそうな顔をしてみる。
 下記の虎屋のページに写真がある。鉄斎の絵の包装紙も立派。
http://www.toraya-group.co.jp/gallery/dat02/dat02_036.html