都市プランナー、コンサルタントの育ち方

 今日のセミナーは堀口さんの「[都市プランナー]、コンサルタントの育ち方」でした。来てくれた人、ありがとう。これでセミナーの赤字も完全解消でした。以下は簡易メモです。
 

その歴史と仕事

 都市計画のコンサルタントやプランナーは、1960年代に開発計画の立案などのニーズに応えて生まれたそうです。一方では公害反対闘争や都市開発、地域開発反対闘争のなかでアドボカシーの必要性もあったとのこと。
 その後、地域に長期密着して取り組むタイプも生まれ、バブルの頃には自ら企画するプロデュース型も言われたけれども、これは今は都市計画コンサル分野からは消えたそうです。
 このような歴史のなかで、仕事としては都市マスの策定、地区まちづくりでのまちづくり協議会の支援と地区計画等の策定、伝建や景観の調査とガイドライン等の策定、温泉を掘って宿泊や物産施設をつくるといった地域活性化支援などの仕事をしてきたけれど、最近増えているのは地域活動の支援。ただし、押しかけて支援をする、仕事というより自己実現みたいな分野も増えているそうです。
 やや詳しく紹介のあった、都市マスの仕事では、従来は都市の将来像を描くというタイプでしたが、関西では都市が成熟しているため今さら将来像を描く必要はなく、都市空間のあり方について市民の合意を確かめるというタイプになっているそうです。ただし関東ではまだ従来型が多いとか。
 密集でも公共のお金をガンガン投入してということはなくなり、内発的整備を目指した建て替え時のルールづくりを行っているそうです。
 一方、市民活動の支援での最近の流れは、地元の人たちが自らワークショップをできるように、そのやり方を教えるといった仕事、コミュニケーションのサポート、プロモーションのお手伝いだそうです。

その専門と地域分布

 コンサル、プランナーの仕事と専門分野は下記の通り。

  • 都市計画・マスタープラン;都市計画コンサル等;(特徴)合意形成
  • 景観デザイン;都市計画コンサルや建築設計事務所;(特徴)ルールづくり、手段としての参加
  • 事業(再開発、区画整理等);設計事務所、ゼネコン、デベロッパー;(特徴)できてなんぼ
  • ランドスケープデザイン;造園設計事務所;(特徴)計画・設計・ユーザー参加
  • マネージャ型;商業コンサル、都市計画コンサル、イベント会社等;(特徴)必ずしも空間に結びつかないこともある、ビジネスにまだなっていない 

 また、仕事もクライアントも事務所も東京一極集中。関西は離島型というか、自給自足圏をなんとか作れている。それ以外は地域に一社。四国の場合、4県あるけど、3社しかないという状態。
 
 問題はどうやって稼ぐかだが、公共事業絡みの仕事は減っており、まちづくり活動の支援はコミュニティビジネスというか、地域価格でご奉仕で、楽しいけど食えないのが実情。これを食えるようにするのがこれからの課題だとのこと。

プロになるためのアドバイス

 まず身につけるべきことは、社会人としてきちんと振る舞えること、統計の分析法、現地調査や空間情報の把握力など。そのほかワード、エクセル、パワポフォトレタッチ、CAD、GIS、アクセスなどのパソコンツール。
 大事なのは会議の議事録をとれるようになること。というのも内容を理解していないと議事録はとれないから。
 ある程度、仕事ができるようになってきて、そろそろプロかなとなったら、専門家として自分はスターなのか、脇役なのかを見極めることが必要。
 スターになりたいなら、仕事を作れなければダメ。
 また、一度技術を身につけても、時代の要請に応じて時々に技術開発をしていかないといけない。
 また資格などは仕事について10年ぐらいたって「持ってないと恥ずかしいかな」というぐらいになってから取れば良い。

これからのまちづくり

 公共事業が減り、公共サービスが民間化されていくなかで、今は勝手連のように押しかけ支援をしているという状態。専門家のボランティアには二通りある。一つは、弁護士のように本業で充分生きていける人が社会のためにその専門的な力を提供するのがプロボノ。一方、将来はビジネスになるのではと期待しつつボランティアしているのは先行投資型。都市計画コンサルのまちづくり支援はオンザジョブトレーニングを兼ねた先行投資型と言えるのではないか。