椿姫(びわ湖ホールプロデュースオペラ)

 沼尻竜典さん指揮、プロデュースの椿姫を見てきた。ヴィオレッタは砂川涼子、アルフレードは福井敬、ジェルモンは黒田博。
 前半はヴィオレッタの声が小さくて、イマイチと感じた。4階席だから遠いのだが、良い時は目の前で歌ってくれているように聞こえるのに、どうも音が遠い。
 だけど、後半、特に3幕はその線の細さがプラスに効いていた。
 また演出で目をひいたのも、第3幕。舞台では歌うヴィオレッタとは別に、もう1人のやや細めのヴィオレッタが倒れたまま。ひょっとして、舞台はこの倒れたままの、息を引き取るヴィオレッタの夢なのかな?と思っていたら、最後にアルフレードがこの倒れたヴィオレッタを抱き起こしていた。
 小説と同様、アルフレードもジェルモンもヴィオレッタの死に間に合わなかったと暗示したかったのだろうか。なにか荒涼とした雰囲気の舞台。良かった。
 期待していたスペイン闘牛士の踊りは、舞踏会での映画鑑賞に変えられていた。ダンサーを呼ぶ予算がなかったのか、沼尻竜典好みのストイックな演出なのか・・・。なにしろサロメをセーラー服の中学生にしてしまう人だから。