遅咲きのヒマワリ(9) 僕ら地域おこし協力隊

 いよいよ9回目。今回を含めあと2回なので、猛スピードでオチに向かって走り出した。
 まず松本弘樹君。先回の親父さんの病気で目覚め、エースだった自分の過去の呪縛から逃れ出て丈太郎と順一に「僕は今から始まるんだ」と啖呵を切る。
 順一は島田さよりさんを襲いかけてしまい「もう、二人だけで合わない方がいいね」と言われたのだが、さよりは「古民家の掃除のボランティアは続けたい」と言い、春菜が手伝ってくれることになって、目出度く掃除再開。
 一方、森下彩花は丈太郎を連れて、恋人の墓に。過去の苦しい恋を語り、丈太郎の思いに終止符を打つ。
 そして丈太郎は、二階堂に「仕事を見つけてエライじゃないか」といったところ、「見つけたんじゃない、目の前にあったのだ」と言われたのが効いたのか、耕作放棄地をみて「僕は農業をやるんだ。米を作るぞ!」と思いたつ。そして順一の店にかけてゆき履歴書書きに嫌気がさしていた順一を巻き込んで「やるべきことが見つかった!」と有頂天になる。
 問題は二階堂さん。「東京には戻りません」と患者さんに断言した途端、東京の大学教授から戻ってくるように指示される。部下がセクハラ事件を起こしスタッフに穴が空いたから戻ってこいというのだ。その身勝手さに腹が立ってしょうがない。でも、研究という夢も捨てがたい。しっかりした仕事をもち、患者さんに頼りにされて、最初に道が見えてきた彼女が、動揺する。「お前にいて欲しい」という丈太郎。「いなくなったら、人口がへっちまうから・・・」。
 次週予告では「二人の愛の行方は?」なんてテロップが出ていたが、二人っていったい誰だ? さっきのは愛の告白? 「二人で人口を増やそう!」と言ったらどうだと突っ込みたくなる。


 ところで、次週には丈太郎が地域おこし協力隊をやめて、農業一筋で定住すると宣言するようだ。
 これは本当は無茶苦茶。地域おこし協力隊の狙いは、3年の任期のうちになるべく起業・定住への道筋をつけることだから、就農への支援も組み込まれているし、協力隊の業務をこなしながら休日に農業をすれば、農業従事年間150日という農家認定要件も満たせる。だから就農を目ざして頑張るなら地域おこし協力隊をやめる手はない。

 実際、『僕ら地域おこし協力隊』でも、そのように就農を目ざして頑張っている人を紹介している。
 ドラマチックにするため辞めると言わせるのだろうが、誤解を生みかねない。


 だが、そんな細かいことはともかく、「人に来てもらいたいなら、自活できることを僕たちが示さないと」という丈太郎の言葉は良い。
 もちろん甘いものじゃないだろう。だが地域おこし協力隊のほかにも、7年間で1050万円の支援がある青年就農給付金など、充実した制度もある。
 斉藤俊幸さんは「東京でフリーターをしているよりも、地方で100万、200万稼ぐほうが、豊かになれる」と言っているが、そんなことを考えても良いのかもしれない(『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』に出てくる『地域おこし協力隊』って何だ)。

 それにしても気になるのは古民家だ。仲良く掃除をするのは良いが、どう活用するのだろう。せっかく民泊ができる古民家があるなら、丈太郎が育てたお米と新鮮野菜も組み合わせ、何かやってオチをつけてほしい。

(おわり)


○僕ら地域おこし協力隊
http://www.gakugei-pub.jp/gakugeiclub/chiikiokosi/index.htm
○出版記念イベント京都(13.11.11)
http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1301mega/index.htm